それ楽しい?

□せいぶつのところ
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朝、目覚めると隣には。
おどろおどろしい柄の蛇がいた。


『もおおおおおぉ!!!
意味わかんないんだけど!!!』
「ちょっと浅彦、落ち着いて!」


朝の蛇事件で最高に気分が悪くなった私はヤケになって食堂でご飯をドカ食いしていた。
食べ過ぎで具合悪くなるよ、と伊作が宥めてくれるがそんなの聞いちゃいられない、イライラしたら食べるのが一番だと思う。
ちなみに朝の蛇、まだ私の部屋に居座っている。
我が物顔で。
非常に腹が立つ。
私は低血圧なんだ、朝から大変な思いをした。
飼い主の顔が見てみたいところだが、飼い主というよりどうせ生物委員会の管轄なんだろう。
あのボサボサ髪が頭に浮かぶ。


『ん!ご馳走さま!
それじゃあ私、生物委員の所に文句つけに行ってくる!』
「え、あ、うん…。
喧嘩して怪我なんかしないでね!」


伊作は心配してくれたが、朝を邪魔した輩に対してはいくら温厚な私であっても容赦しない。
文字通り殴り込みに行かなければ気が済まないから無事帰って来ることができるかはわからない。


『おい!!!
竹谷ァ!!!
虫かご壊されたくなかったら出てこい!!!
コイツを引き取れ!!!』
「おい、今度は何が逃げたんだよ…」
「なんか外、うるさいですね…あっ!ジュンコ!」


飼育小屋の前でジタバタダンダン足を踏んでいると中から出てきたのは、竹谷とエンジェル孫兵君。
孫兵くんは私の方を一目見た途端、目を見開いてこちらに走り出してきた。
孫兵君は美人だから抱きつきたいけれども、彼から来てくれるなら拒みはしない、むしろドンと来い!
腕を広げて構える。
が、彼はどうにも私というより私が持っていたあの迷惑な蛇の方に会いたかったようだ。
ジュンコって言ってて正直誰だよって思ったけどこれのことか。


「ジュンコ!
いったいどこ行ってたんだ!」
『私の部屋。』
「あ!
姫宮先輩!
ジュンコに何したんですか!」
『勘弁してよ、むしろ私が夜中ジュンコちゃんにナニされたかもわかんなくて怖いよ。』


竹谷だったらほんとに1発ポカってやろうと思っていたけれども相手が3年、しかも孫兵だとなると手が出せない。
なんだか拍子抜けしてしまったなぁ。
でも殴り込む気満々でここに来たものだから何だか物足りない気分だ。
チラリと竹谷の方を見る。


「…何ですか。」
『いや、てっきりお前がしでかしたのかと思ってちょっと手上げる気でいたから何か物足りなくて。』
「あんた最低だな!!!」


仮にも先輩より年下ですよ!?と言われても、だって竹谷は強そうだからいけると思ったとしか言いようがない。


『まぁ孫兵君が犯人でよかったじゃないか、平和に解決したね。』
「あ、今からジュンコ首に巻くので後ろから抱き着くのやめてもらえま『オーケー。』


私は蛇に負けるらしい。
ここは潔く引き下がる。
しかし本当に美人さんだなぁ。
ニコニコと孫兵を見ていると竹谷がパッと彼を後ろに隠した、まるで私から庇うように。


「…生物委員会はダメですよ。」
『えっ、なになんのこと?』
「何とぼけてるんですか、この前火薬委員長になるっていって乗りこんだって聞いてるんですよ?」
『あーあー。
でも結局なれなかったけどね。
竹谷はそんなこと気にしてるの?』
「気にしますよ!!!」


今だって手出そうとしてたでしょうって、手出すっていうのは殴るか蹴るかはたまた好いてる子にアタックすることでしょうが。
私にはその気はない。
美人はみんな好きだけれどもあくまで恋愛対象は女の子、私は決して男色家ではない。
だからみんなが思っているほど私は怪しくない、一部の人間から影で変態と呼ばれているのも実は知っているがとても心外だ。


『大丈夫、無理矢理委員長やるって言ったりしないから。
でもあれだ、大変だなーとかってときには頼るくらいしても別に良いからな?
私だってこんなんでも先輩だからね。』
「…先輩。」
『あと孫兵も私を積極的に頼ってほしいしもう少し甘えてもいいし何ならもう少しこっちにおいで出来れば今すぐ。』
「やっぱアンタ帰れ!!!」



驚くほど竹谷が吠えたのであの時とても怖かったのを覚えている。

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