儚く…そして美しく

□各々の意識
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気が付いたのは夕飯の前
部屋に戻るとあいつの姿が見当たらない
エレンの実験に付き合わされて、その間、キョウには書類整理と部屋の掃除を任せた
今日中には終わるはずの無い量を与えた筈なのに
「チッ。何処行きやがったあのクソガキ」

最近、あいつを見ると意志が弱まる…
《好き》だと自覚してしまったからだ
ずっと気付かないふりをし、蓋をしておけば、いつもの…冷徹な【人類最強】と
そう。俺は他の奴等の…遺志を継いで行かなきゃならない
それを背負い、振り向くことすら赦されない
なのに、あいつは…
『強くなりたい。そして、少しでもリヴァイさんの……傲慢でもいい。貴方を護りたい…』
なんて言うから…
守られるほど弱くねぇ
そう、意地を張ってしまい
訓練や日常…あいつに冷たく当たってしまった
しかし、変わらずあいつは俺を見ている
懲りずに着いてくる
まるでエレンが二人居るみたいに、だ…
普段は生意気な事ばかり言ってくるし、強気な目付き。誰にも従わない芯の強さ
だが、無防備な姿を俺には見せれるだろ?
俺だけに向けて欲しい眼差し
俺はお前を守りたい。
甘えてほしい…
そしてお前が知りたい
だが、いろんな奴に呼び出されたり、仲良くしてたり、ましてやエルヴィンのとこに行きたいなど…お前は誰の補佐だ?
そして誰の監視下にいるんだ?
そんな事を考えたら、気付いてしまった
今までの気持ちが
こいつを好きだったから出てきたものなのかと…
だが…俺にはそんな資格あるはずもなく…
でも…と、言う矛盾
人類最強が聞いてあきれる
なにをうだうだ悩んでんだ…
ならはっきりさせてしまった方がいいに決まっている
誰のとこにも行かせたくない
俺の目の届く範囲にいてほしい
あいつの全てを手にいれたい
なのに、何故此処にいない?
「まさか…!」
急ぎ馬を走らせて
向かうはエルヴィンの居るであろう本部へ























適当に馬を繋ぐと
そこには見慣れた…あいつが世話してる馬が見えた
やはり当たりか
そしてざわつく嫌な予感
急げ
急がないと


予感は当たった

エルヴィンの部屋の扉を蹴り破ぶり入室すると
そこにはソファに頬を染めてぐったりとしているキョウが
涙の痕か?
その前には悠々とした態度のエルヴィン。
奴はぱっとみでは確かに爽やかだ。だが内面は俺以上に
そう思ったら身体が動いていた
エルヴィンにではなく

なぜ、ここにいるだキョウ
お前はっ!

「っ」
殴られたのはエルヴィン
何故お前が庇う
俺はこいつを

「エルヴィン、テメェ」
久しぶりに発した声は
自分で思ったよりも怒気を孕んでいて、視界の隅でキョウが怯えたのが見えた

「だっ、「ははは。リヴァイのそんな顔は地下街以来だね」
「なんで庇った」
「そんな威力あるもの彼女がかわいそうだ。…悪いのは私だけだよ。」
「チッ。連れて帰る」
「…リヴァイ。」
「チッ」
最後に見た、エルヴィンの目は、いつもより頼りなさげな瞳だった。
こいつも一応人の子だったんだな。付き合いが長い分わかっていたが、今はコイツに構ってる余裕は無さそうだ。

キョウを横抱きにしたら、すりよってきてそのまま意識を手離した。




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