仗助と夏祭り
※名前は「凛」で固定してあります。
近所の神社でお祭りがあるから皆で行こう!
そんな凛の発言により、いつものメンバーで行くことになった。だからお袋に帰りは遅くなるって言っただけなのに、どこから引っ張り出したのか浴衣を無理矢理着せられた。強く締め付けられて本気で内蔵が出るかと思った。まあそんなことはさておき。
集合してみれば打ち合わせもしてないはずなのに皆浴衣姿だ。億泰まで着てくるとは思ってなかった。何でも、親父さんがいつの間にか持ってきて渡してくれたそうだ。親って考えることが同じなんだろうか。
「皆揃ったし、早く行こう!」
子どもっぽさを隠さずに跳ねる凛を由花子が注意した。下駄履いてるのに、痛くないのだろうか。
屋台を見ながら歩いていると、すぐに皆バラバラになった。いや、目が届く範囲にはいるんだけど。由花子と康一は二人でガラス細工見てるし、億泰と凛はそれぞれ食べ物の列に並んでいた。まったく、一緒に来た意味がないじゃあないか。とりあえず一番近くにいた凛の方に行き、頭をぽんと叩いた。
「いてっ。あ、仗助。仗助も焼きそば食べる?」
「凛は食い気しかねェのかよ……俺はたこ焼き買ったからいいわ」
「そう?って仗助、いつまで手ぇ乗せてるの。せっかく纏めたのにぃ」
むぅっとするので悪い悪いと手を下ろす。あぁ、そうだ。今さらだけど凛はいつも下ろしている髪をポニーテールにしている。髪紐は赤い浴衣に合うようにオレンジ色で、列が動くごとにポニーテールはゆらゆら揺れた。そればかり見ていると、いつもは制服で隠れて見えない項が見えた。首、細くて白いなと思ってからすぐに慌てて頭を振った。俺、今何考えてた。
その瞬間、一瞬空が光りバンッと大きな音が鳴った。
「あ!花火だ!大きいねぇ」
顔を上げたことにより項が隠れ、俺は少し複雑な気分になった。
上を見上げれば、ちょうど大きな花火が空に広がった。
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