しょうせつ
□福富
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困ったことがあるんだ、相談に乗ってくれ。と福富くんに言われて放課後、誰もいなくなった教室で相談に乗ることになった。(部活が今日はオフの日だから丁度よかった)席に着くと福富くんにすごく真剣な顔で「俺は病気かもしれない」と言われた時はすごくギョッとした。仮にもこのインターハイの前にこんなこと言われたら誰だってびっくりする。
「びょ、病気って…どういう…!?」
「…すまない、わからないんだ。だが、荒北や新開にも聞いてみたが二人共口を揃えて「それは病気だ」って言われて…「△△に聞けばわかる」とも言われたから相談してみたのだが」
なんで私に?とも思ったがそんなことは考えている場合ではない。福富くんが、病気だなんて…
「私なんかが力になったらいいけど…出来るだけ頑張ってみるね」
「△△…ありがとう。本当にすまない」
「ところで…その病気って具体的にどういう症状があるの?」
「…最近、胸が縮こまるように苦しくなったりどこかモヤモヤしたり心臓の心拍が早くなったりするんだ」
「胸が、苦しくなったり、モヤモヤしたり…」
「ああ。だが、それは何故か△△を見ている時だけ起こるんだ」
「私を見ているとき…だ…え」
「他の女子を見ても何ともならないのに、何故か△△と一緒にいるとそうなる…今も、少し苦しい。…なあ、これは本当に治るのか?」
「えー!ええぇ…!!あの、その、なんて、いうか、それは不治の病っていうか、その」
「不治の、病…!?じゃあこれは一生治らないのか!?」
「あ、いやそういうわけじゃないけど、あの、治し方を知っているというか、えっと…」
「知ってるのか…!?頼む、教えてくれないか…!このままでは自転車部にも支障が出てしまう…お前しか、頼れないことだと思っている。だから、この病を治してくれないか…?」
ギュッと両手を福富くんの大きな手で包まれてつい顔が赤くなってしまう。私に言えというのか。それは恋です、そしてあなたは私に恋をしている、だなんて。そんな殺生な。
20140212