しょうせつ

□御堂筋
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ぎゅう、という効果音を出しながら御堂筋くんが私を抱きしめる。彼は少しでも触ってしまえばすぐに壊れそうなくらい細いのに、力は男の子そのものだ。首元に顔をうずめる。御堂筋くんはこうやって私の匂いを嗅ぐのが好きらしい。いつもならそう顔をうずめたまましばらく動かないのだが今日は「うぐ、」という呻き声がしたと思えば苦い顔をした御堂筋くんが顔をあげた。

「…今日の○○ちゃん、なんか変な匂いするわぁ…鼻が曲がってまうわ」

「変な、匂い…?あ、」

そういえば。今日は体育があって、持久走をやったんだ。そして、汗臭くなってしまったから友達から香水を借りて使わせてもらったんだっけ。ちょっと、量多くつけすぎて自分でも少し気持ち悪くなってしまったけど時間が経つとともに忘れていたらしい。御堂筋くんは私よりも少し鼻がいいからきっとすごい匂いがしたんだと思う。悪いことしたなあ。

「ごめんね御堂筋くん…私今日香水付けてて」

「香水ぃ?なんで」

「あのね、今日体育あって…汗臭くなっちゃったから友達から香水借りたんだけど、ちょっと多く使いすぎちゃって…ごめんね?御堂筋くんも汗臭いの嫌いだと思って…」

「…別にぃ。ボクは香水臭い○○ちゃんのが嫌いや」

うえー、くっさ。と言いながら鼻を押さえる御堂筋くん。ここまで臭い臭い言われると少し傷つく。今度から匂いの少ない香水使おうかなあ、でもそれじゃ香水の意味ないんじゃないかな?とか考えていると御堂筋くんがもう一度私の首元まで顔を近づけた。え、と思った瞬間ベロン、と御堂筋くんが私の首元を舐め上げた。突然のことにヒッとうわずった声が上がった。え、なになんなの。

「みみみ御堂筋くん…!?」

「はよ、この臭い消してや。香水臭い○○ちゃんとか嫌やからなぁ」

「えっあっはい、消し、ます…」

「なんで敬語なん。まあええわ、ほな帰るで」

あー、臭かった。とか何とか言いながら御堂筋くんをいそいで後ろから追いかける。隣で歩く御堂筋くんを見ながらもう汗をかいても香水なんてつけないでいよう、と決断した。

20140212

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