しょうせつ
□東堂
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「おーおー、今年もすごい量だな」
「あんたに言われたくないわよ。モテ男」
「まあね。つーか、この俺がモテないわけないだろう？」
「顔だけ、はね」
「なにっ！？中身もイケてるだろう！？」
「巻ちゃんバカが何言ってるんだか」
巻ちゃんバカとはなんだ！と言いながら俺は○○の横に腰掛け手の中のチョコの山をドッサリと机の上に置きその中から1つ手にとり封を開けた。お、手作り。○○はすでに自分の目の前の山から何個か開けて口に放り込んでいた。
俺はもちろんのことだが、○○もサバサバとした性格のせいか結構モテるほうだ。異性はもちろん、同性からも。その山の中にいくつの本命チョコがあるのだろう、と考えるとすこし餅を焼いてしまう。そのモヤモヤを隠すように俺は一つチョコを口に入れた。うん、美味い。誰からもらったかだなんて覚えていないし、覚えるつもりもないけど、この好意はもらっておこうではないか。
「…ところで、○○さん？」
「んー？」
「俺さ、まだ君からチョコ貰ってない気がするんだよねー」
「……えっいるの？」
「あたりまえではないか！本命からチョコもらわないで嬉しいわけがないだろう！」
「え、ごめんどうせいっぱい貰うだろうしと思って持ってきてない」
「…はああぁ！！？マジで！？」
「うん、マジで」
「嘘だろ○○…！！尽八ショック…！」
「えええ…ごめんそんなに落ち込むとは思ってなかったわ…あ、はいこれあげる」
「それ○○宛てのチョコだろ！」
「いらないの？」
「いる！」
○○からチョコを一粒もらいおもむろに口に放り込む。「お返しはケーキがいいなあ」とか横で何か言ってるが無視だ無視。信じられるか？普通彼氏に渡すチョコ持ってきてないとかありえるか？いくらファンからのチョコが多いからって実の彼女から貰えないなんてさぁ。つらすぎだろ。少しこらしめてやろうか。
「…なぁ○○チャーン？」
「んー？なに？」
「○○ちゃんも俺からチョコ欲しいと思わないかい？」
「え、いいよ別に。ホワイトデーにケーキ奢ってくれたら」
「いやぁーほら俺だけ貰って○○にはあげないってのはフェアじゃあないだろう？」
「いやだからケーキ」
「あ〜！しょーがないなぁー！○○の頼みなら断れないなぁー！」
「話聞けよっ」
○○の言うことを全て無視し俺は手元にあるチョコを自分の口の中に入れ○○に口付けた。そして自分の口の中にあるチョコを舌で掬い○○の口の中へと移す。所謂口移し、というものだ。チョコを口の中へと移し終えると○○は少し苦い顔をした。あぁ、ビターチョコだったかな？○○は苦いもの嫌いだからなあ。ガリッ。グ、舌噛まれた。
20140211
修正20140223
ちょっと早いVDネタ
0223口調少し手直し。