しょうせつ

□御堂筋
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洗濯物の入ったカゴを下におろしふぅと小さく息を吐いた。今日は合宿の2日目だ。皆さんほんとよく御堂筋くんのあのきっつい練習についてこれてるなあと感心する。そのせいで、練習は終わったあとの先輩方はまるでゾンビのようだ。この暑い中あんな厳しい練習をしているのだから無理はないが。
洗濯をすませ、さあ食事を作らなきゃと思いキッチンへ向かおうとしてリビングを抜けたとこで、足を止めた。

「…御堂筋くん?」

リビングのソファには御堂筋くんが横になっていた。多分寝ているのだろう。もう練習を終え帰ってきたのだろうか。まだ空はほんのりとしか赤くなっていない時間帯なのに、早いなあ。
…御堂筋くんどんな顔して寝てるんだろうか。そんなちょっとした好奇心が湧いた。だって、あの御堂筋くんがこんな無防備に寝てるだなんてきっと一生で一度あるかないかだ。(就寝時も布団かんっぺきに被って寝てるから見れない)
起こさないようにゆっくりと近づいて御堂筋くんの顔を見る。

「……っっ」

うっかり声を出しそうになってバッと口を押さえる。やばい、やばい。御堂筋くん。かわいい…!!いつもパッチリと開かれている目が今はしっかりと閉じられていた。スースーと規則正しい寝息と一緒に時々「んー…」という寝言が聞こえる。やばいかわいい。……ちょ、ちょっとくらい触っても起きないかな…

「…お、おじゃましまーす…」

小さくそう呟いて御堂筋くんの頭の置かれてる場所のすぐ横に腰掛けた。そしてゆっくりと御堂筋くんの頭を撫でる。髪の毛、さらさらだなあ。羨ましい。
しばらく撫でているともぞもぞと御堂筋くんの体が動いたのを感じた。すると御堂筋くんはへにゃりと顔を歪めた。…御堂筋くんこんな笑い方もできたんだなあ。頭を撫でていた手をスッと頬にうつす。ゆっくり撫でるとすりっと小さく頬ずりをしてきた。そしてそのまま動かなくなった。なんていうか、言いにくいけど、母親になった気分だ。もう片方の手でしばらく頭を撫でていたらだんだんと眠気が襲ってくるのを感じた。ああ、これはやばいなあ。まだ食事の準備してないのに。ふと空を見るとさっきよりも少し赤くなっていた。…ちょっとくらい、いいかな。そう思うとさっきよりも眠気がガクンときた。そして私は眠気に誘われるがまま意識を失った。



「……なんやのこれ」

目を覚ますと目の前にマネージャーの○○ちゃんがおった。○○ちゃんはスースーと規則正しい寝息をたてて熟睡しとるし頭は○○ちゃんの手によってギッチリと抱えられとるし。ほんまになんやのこの状況。意味わからん。意味わからん、けど

「(…嫌な気は、せえへんな)」

耳元では○○ちゃんの黄色い音が一定のリズムで鳴っとった。…もう少しだけ、このままでもええかな。……うわあ自分キモいなあ。キモすぎやわ。…まあ、どうでもええか。まだそんな暗うなってないし、もうちょっとだけ、寝るか。ちょっと首痛いけど。黄色い音と○○ちゃんの寝息を子守唄にボクはもう一度目を閉じた。


(あ゛ー疲れ…た……おい見てみぃ!△△と御堂筋一緒寝とるで!)
(え?あ、ほんまや…二人共幸せそうに寝とるなあ)
(ちょ、ノブ俺の携帯とって!これは写メ撮らなあかんやろ)
(えー井原さんの携帯どれですかー!)
(多分その青いやつやと思うでー)
(ところで…飯は?)

20140126
京伏は皆でわちゃわちゃしてるほうが好きです
最後の会話は井→石→井→水→山→辻だと思う

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