リクエスト

□御堂筋
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「ねえ翔くん。」

「なんや」

「いよいよ、明日、だね。」

「…せやなぁ」

「私ね、まだ夢見てるみたい」

「それ、昨日も言うとったで」

「え、そうだっけ?」

「昨日だけやなくてその前の日も言うとったなぁ」

「えー?うふふ、それだけ幸せってことなのよ」

そう言いながら私は彼にソッと寄りかかる。彼は少し肩を揺らすと私の右手をゆっくりと左手で重ね、ギュッと握られる。彼の少し低めの体温で右手がジワジワと温まっていく。その低めの暖かさと、左手の薬指にある指輪がどうしようもなく愛おしかった。

「○○ちゃん、もう夜も遅いからはよ布団入り?そろそろ眠いやろ?」

「んー…もう少しだけ、翔くんとこうしていたい。」

「体、冷やしたらあかんやろ」

「翔くんがあっためてくれたら、いいんじゃないかな」

「…○○ちゃんプロポーズしてからわがままになったなぁ」

「わがままな私は嫌い?」

「……誰もそんなん言うてへんやろ」

「んふふ、ごめんね?」

その笑い方、キモいわぁ。と罵倒をこぼしながらもギュッと抱きしめてくれる翔くんから本心から言っているわけではないということがよくわかった。ドクドクとすぐ近くで翔くんの心音が聞こえる。それがとても心地よくて頭を彼の胸にこすりつけると「くすぐったいわ」という声が聞こえた。
きっと、翔くんは世界で一番素敵な旦那様になるだろう。お腹にいる私たちの子も翔くんに似た素敵な子になってくれたらいいなと心から願う。ねえ、翔くん。生まれてきてくれてありがとうね。小さくそう告げると翔くんは、それはこっちのセリフや。と言っておでこにチューしてくれた。ああ、私は今、世界中の誰よりも幸せかも知れない。

20140225
リクエストありがとうございました!

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