しょうせつ
□御堂筋
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ひっくひっくと隣から嗚咽が耐えなく聞こえる。部活終わってからずっとこうや。はよ帰りたいんやけど。別に○○ちゃん置いて帰ってもええんやけど、それはそれで明日めんどくさそうやし。ところでなんで○○ちゃん泣いてるんやっけ?…そうや、確かボクと同じクラスの……やま…なんとかっていう人にフラれたとか言っとった気がする。なんでそんなザクにフラれただけでそんなに涙流せるのか不思議でしゃあないわ。チラッと横を見ると手で顔を覆ってボロボロと涙をこぼす○○ちゃんが目に入った。そーいやさっき帰り際に石垣くぅんに慰めたってとかなんとか言われた気ぃするけど、女の子の慰め方なんか知らんし。どないしろっていうんや。
「…○○ちゃん。ボク涙キライやねんけど」
「…っごめ…もうちょっとっ…だけ…」
ボソッと傷つかへん程度の言葉を投げ捨てると少し間を置いて返事がかえってきた。もうちょっと、ってどういう意味のもうちょっとなんやろか。まあ、どうでもええけど。くあ、と小さくあくびをする。ねっむ。あー、はよ帰って寝たいわ。どうやったら○○ちゃん泣き止んでくれんのやろ。石垣くぅんが帰る前に聞いといたらよかったわ(なんとなくやけど女心とかいうやつわかってそうやし)。あ、泣き止ませる、って涙止まったらええんやな。
「○○ちゃん」
「…ん……っ!?」
小さくこっちを向いた○○ちゃんの頬を掴んで未だこぼれ落ちる涙をベロンと舐め上げた。うえ、しょっぱい。でも、ほんのちょっぴりだけ甘い気がする。あ、ちょっと涙ひっこんだかもしれへん。もう片方の目に溜まってる涙も同じように舐めたげる。ゆっくり顔を遠ざけると涙を流す○○ちゃんはどこにもなくてかわりにポカンと口開けてアホ面した○○ちゃんがおった。
「…プッ、なんやその顔。アホみたいやで」
「…え……あ、ええぇ…!あ、あの、い、今…!!」
アホ面しとった○○ちゃんは一瞬で真っ赤になってもうた。相変わらず喜怒哀楽激しい子やなあ。
「んー?なんやの?もしかしてもっかいして欲しいん?」
「なっちがっ…!!」
「そか。…ふぁーあ。ならはよ帰ろかボクもうねっむいわー」
「うえっあっう、うん…」
カバンを持ってツカツカ歩くと○○ちゃんは慌てて後ろからついてきた。また泣きとうなったらやったるわぁ。と告げたらまた真っ赤になっていい!と叫んだ。口の中にはまだあの甘さが残っていた。
20140129
御堂筋くん優しすぎてキモッ!