ぶっとばせ!
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「よぉ、どうしたこんなところで」
声をかけられて後ろを振り向くとそこには鬼の面を被った男がいた。見たことのある面と、首から下が一致しない。その男が来ている着物がむかつくモジャモジャを思い出させる。ていうか本人だ。
「あなたこそどうしたんですか?人が折角敵討ちに来てやったってのに本人が登場しちゃダメでしょう」
鬼のフリをしているようだからわざととぼける。
この様子じゃこの男も俺と同じ目的で現れたんだろう。
「イライラして眠れなかったからちょっくらお礼参りに行こうかと思ってな」
二人して歩いていると前に見える入口から騒がしい音が聞こえる。
「だからよぉここは任せてくれねぇか」
入口の数歩手前で立ち止まって鬼の面は俺を見下ろした。
言われなくてもわざわざ甦ってきたのなら譲ってやるつもりだった。
思いっきり暴れる口実がなくなるのは残念だが仕方ない。
「せいぜいボコボコにしてくることですね鬼道丸さん?」
俺が見上げて言ったらそいつが笑う気配がした。
銀時が出ていくと途端にざわめく観衆。鬼道丸のトレードマークだった鬼の面を着けた男が現れたのだから当然だろう。
「・・・貴様何故ここにいる?貴様は確かにわしが殺したはず・・・」
「てめーか?俺を殺したのは。イライラして眠れなくて起きてきちゃったじゃねーかどーしてくれんだコノヤロー」
「ここはもう貴様の居場所じゃない。わしの舞台じゃ。消え去れ」
え、もしかして本物だと思ってるの。あいつバカなの。怖い顔してばかなの。
普通気付くだろ云々と考えていたら後ろから近づく気配に気づいた。
「あれぇ?アンタ、手を引けとか言ってませんでした?俺はてっきりもう関わらないもんだと思ってましたがねー」
振り向きながら後ろにいた土方を嘲笑ってやった。
その後ろにはぞろぞろと真選組の隊士たちが並ぶ。
「うるせぇよ。いつものごとく一人で突っ走りやがって。少しは団体行動っつーもんをおぼえろ。」
「俺としちゃぁ禁煙っつーもんをおぼえろって言いたいところですがねィ。なー李斗?」
変な眼鏡をかけた総悟が参戦してくる。なんでそんなものをかけてるのか疑問だ。
「ほんとですよ。俺のきれいな肺がどんどん汚れてくじゃないですか。」
「今禁煙関係ねーだろ。お前は腹が真っ黒だから肺くらい汚れても大丈夫だよ」
「うわー聞いたか?総悟。少年の肺を汚していることに罪悪感も感じてないぜこの人」
「サイテーでさぁ土方さん。おまわりさんにあるまじき行為ですぜ」
「くっ・・・コノヤロー相変わらずむかつくやつらだな。・・・まぁいい。それより早く行くぞ」
ひきつり笑いを浮かべた土方は後ろにいたやつらにも声をかけ足を進める。見るといつの間にか神楽と新八も来ていて、三人仲良く暴れていた。
「な、なんだコイツら」
次々と倒されていく仲間に冷や汗をかく眼帯ヤローに総悟が刀を突きつけた。
「理解できねーか?今時弔い合戦なんざ、しかも人斬りのためにだぜィ?得るものなんざなにもねぇ。わかってんだ、わかってんだよんなこたぁ。だけどここでうごかねーと自分が自分じゃなくなるんでィ」
「てっ・・・てめぇらこんな真似してタダですむと思ってるのか?俺たちのバックに誰がいるか知らねーのか」
「さぁ?見当もつかねーや。一体誰でぃ」
俺も切りかかってくる敵を傘でなぎ倒して総悟の隣に行く。
「あなたがたの後ろに誰がいるかですって?」
「僕達真選組だよ〜」
「あらら、おっかない人がついてるんだねぃ」
やっと俺たちの正体に気づいたやつらは一斉に逃げだして行く。
隊士たちがそれを追っていたからそのうち捕まるだろう。
周りをみると、銀時が原田たちに捕まってギャーギャーわめいているのを見つけた。
「ちょ、!助けて李斗!俺は無実だ!」
目があってしまった俺は、必死に助けを求めてくる奴のそばに近寄る。
「原田、そいつは重要参考人だ。身体的にも精神的にもボコボコにした上で牢屋にぶちこんどけ」
「てめぇ!なに嘘ついてんだ!?つーかひどくね?やりすぎだよね!?オイまてコラァァァァァァ!」