ぶっとばせ!

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「またも出没怪盗ふんどし仮面・・・あきないねぇこの変態も」

せんべいを食べながら新聞を見る。目に入ってきたのは最近巷を騒がせる下着ドロの記事。俺の呟きを聞いて近くに居た山崎が新聞を覗き込んできた。

「あー美人の下着だけを盗んでそれをモテない男に配るっていう生粋の変態ね。」

「そんなこといってお前ももらったんだろ」

「なんで断定されてんの。なんで質問系じゃないの。モテないってか。俺モテないってか。」

「え、違うの?毎年バレンタインで女中からの義理チロル一粒しかもらえない山崎サン。」

「うるせぇ!義理にだって形は違えど愛はこもってんだよ!」

言い返してきた山崎は俺の「言ってもチロル一粒だし」の言葉に立ち直れなくなったのかどんよりした空気を纏いはじめた。それから俺の横においてあった煎餅の袋をあさって食べ始める。激辛煎餅と書かれたパッケージには気づいていないのか、気づいていても気にしていないのか。

「どうせ怪盗するなら怪盗キッドみたいなカッコイイ感じにすればいいのに。」

「仮に白い衣装に身を包んで中森警部に追いかけられても下着ドロだから。変態だから。」

いくらか復活したらしい山崎がバリバリ口を動かしながら言ってくるがそれもそうか。同じ怪盗でも素材が違う。


納得していると襖が開いて土方が入ってきた。


「おい李斗、近藤さんしらねぇか?」

「近藤さんなら朝早くから出て行きましたよ。何でも、お妙さんが危ないとか。女性物の下着が懐から見えてましたけど。」

「どう考えても危ないのは近藤さんだろ!!なんで止めなかった?!」

ふんどし仮面の寄付は近藤さんにもきたらしい。近藤さんの女性関係を見てれば大いに納得できるものだ。

「めんどくさいじゃないですか。ちなみに土方さんは変態からのプレゼントもらいました?」

ふんどし仮面の記事を見せて言うと土方は馬鹿にしたように鼻をならした。

「もらうわけねぇだろ。そういうお前はどうなんだ」

「もらってませんよ。とーぜん。」

土方がもらってたら総悟と一緒に当分ネタにしてやろうと思ってたんだが残念だ。そう思いながら答える。


「まぁ納得だよね。李斗君外面だけはいいし紳士だもんね似非だけど。」

「あぁ外面だけはいいし似非だけど紳士だもんな」

山崎の言葉を繰り返しいう土方。そして二人で妙になっとくした顔をした。

「二人して何言ってんだか。俺は外面だけでなく中身まで超イイ子だし生粋の紳士だってーのに」

「「どこが」」

今度は見事に重なった声にあきれてしまう。今まで俺のどこを見てきたんだか。ここまで完璧な奴はそういないというのに。

あきれた表情で肩をすくめたと同時に携帯が鳴った。俺の態度に青筋を浮かべる土方と山崎には気づかず、俺は電話に出る。


「もしもし」

「よぉ李斗元気か〜」

聞こえてきたのは気だるげな声。無論、万事屋の店主、坂田銀時だ。さらにその馴れ馴れしい台詞は俺の気分を降下させた。

「おはようございます。いい天気ですね。さようなら」

「まてまてまてまてぇぇぇぇ!!」

爽やかに挨拶を済ませ、通話を断ち切ろうとするがあわてた大声に仕方なく携帯をまた耳にあてた。

「なんですか。あいにくと、あんたなんかのために自分の時間使うほど暇じゃねぇんで。ていうか一秒も使いたくない。」

「どんだけ俺のこと嫌いなの。まぁいいや。実はさぁ・・・」


誰も話を聞くとは言っていないのだが話し出す銀時に本気で切ろうかと思っていたら気になる単語が耳に入ってきた。

それはついさっきまで話題になっていた・・・


「下着ドロ?」

お妙が被害に遭った。その話を聞いて、近藤さんが朝から飛び出していったのはお妙の下着を守るためだったのだと納得した。

今から話を聞きに行くところだが警察がいたほうがなんかいいだろとかそういう理由で俺に電話したという。


「そーそー。それじゃ、今からファミレスに着てくれるかなぁ?」

「しかたないですね」

「あれ、そこはいいともー!じゃねぇの」

下らないことをぬかす銀時との通話を今度こそたちきって、いまだそこにたっていた土方に外出することを告げる。

「ちょっとまて、今下着ドロって、つか誰から・・・」

引き留める土方を説明がめんどくさいからとするりとすり抜け指定されたファミレスにむかった。
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