君と見たい景色

□ゴーヤは血に濡れて
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ノーウェアにいたムラサキは、外の雨が強くなってきたのを見てマスターに声を掛けた


「マスター、タオル貸してくれ」

「風呂にでも入るのか?ん?」

「ナイスの分だよ
迎えにいってやらないと、何時まで雨宿りしてるか分かったもんじゃない」

「サボるには、いい口実って分けか」


マスターは後ろにあるタオルをムラサキに投げる


「そぉーはいきませんよ!
仕事が来てるんですから!」


会話を聞いていたコネコは、一枚のビラを手に前えと出した


「ハマトラのお二人には、出張してもらうことになりました!」

「出張?」

「はい!沖縄に」


その言葉を聞いたはじめちゃんは、目を輝かせた


「わぁ…沖縄!」

『沖縄かぁ〜』


そして、遂に沖縄に飛ぶことになった

今は上空まっただ中


「え、え〜
またナイスくんの勝ち〜?!」

「セオ弱いね」

「ナイスくんが強すぎるんだよ」


機内ではセオくんとレイちゃん、ナイスの三人が座ってトランプをしていた

すると、後ろからムラサキが来る


「機内には他のお客さんがいるんだ
静かにしろ」

「…すいません、田中ムラサキ先生(ニヤリ」


セオはムラサキを見ながら、先生を強調していった

他の席に座っている女子生徒からは、ヒソヒソと話し声がする


「急にいなくなったと思ったら、戻ってきてくれるなんてラッキー
田中ムラサキ先生」
「やっぱり名前ダサい」
「でもかっこいぃ〜」


そんな会話が耳に入ってくる
セオは、疑問を2人に投げ掛けた


「つか、なんで全然学校に来てなかったのに、なんで修学旅行だけ?」

「丁度沖縄で仕事があってさ
普通に料金払うより安かったから」

「旅費って、依頼人さんが出してくれるんじゃないの?」

「出してくれるよ
でも、その上で旅費安く上げたら、差額が儲かるじゃん
これ、コネコのアイデアね」

「せこっ!ハマトラせこっ!
…そういえば、リリアさんは?」

「あぁ、この機内の後ろにいるよ
ま、俺とムラサキの分の差額がありゃよくね?ってこと」

「沖縄で仕事って、どんな依頼なの?」


そうレイに問い掛けられたナイスは、依頼内容を思い出した


カフェノーウェアには、ハマトラへの依頼人がいた
若い男性で、スーツを着ている

最初に定番の名前やらを聞いてから、本題に入った


「ご存知ですか?最近こうゆうものが出回ってるのを」


彼は取り出した物を机の上に置いた
チップ付きのビニールの中には、少し濃いピンクの液体が入った瓶が入っていた


「甘そうな色してんね」

「巷では《イデアル》と呼ばれているそうです
普通、この手の物は、気分が高まる作用がありますが、イデアルは違う
これを服用した者は意識を失い、眠ってしまうんです
しかし、その眠りから覚めることはない。なにを呼び掛けても、どんな刺激を与えても起きず、幸せな顔で眠り続けるようになってしまう」

「いい夢でも見てんのかな」


ナイスがそう言うと、依頼人は肘を付けたまま手を顔の前で組み、ナイス達を見ながら続けた


「しかしこのイデアル。医者が言うにはそんな効果が現れる成分は入っていないそうなんです

なにかもっと、特殊な効用が足されているのではないかと」

「!」

『それでうちに…』

「僕は厚労省に勤めていましてね
人知の及ばない不思議な力について、噂に聞き及んだことがあります」

「その口振りだと、俺達のこともどうせ知ってんだろ」

「あなた達ハマトラには、沖縄でイデアルを精製している男を私の元に連行してほしい」


依頼人はもう一度ハマトラを見ながら、依頼内容を言った


「警察に渡すんじゃなく、あんたの元に連れてこいと」

「えぇ。イデアルを精製している柊秀一は、僕の兄なんです」



2014年 沖縄

私は飛行機から降りると、ホテルに向かい時間を潰してから携帯で決められた集合場所へ向かった

ある繁華街にあるベンチ



「なんでだ、なんでどこも売り切れなんだよ!ゴーヤハンバーグ!」

「うまいとは思えないんだが」

「きっと旨いんだよ!はじめちゃんに頼まれたんだから」


そうきくと、ムラサキは立ち上がった


「馬鹿馬鹿しい。仕事に戻るぞ
さっさと売人を探すんだ」

「それだったら、多分この辺にはいねーよ」

「は?」

「沖縄県内でクスリの被害にあった人たちのリスト」

「それがどうした」

「ムラサキも見たっしょ?じゃあ分かるよな
売人はここにはいねーって」

「売人といったら繁華街だ
沖縄の繁華街といったらここだろ」

「そういうこっちゃねーんだよなぁ」


そう言うと、ナイスは立ち上がると、あるばしょに向かった
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