君と見たい景色

□汗と筋肉とアタシ
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『へっ?当てたのはじめちゃん!すごーい!』


ここはカフェ・ノーウェア。実ははじめちゃんとコネコが、中華街でやってるくじで、なんと一等を出した
内容は温泉チケットで、一枚三名までらしいが、うちは遠慮しといた


「なんで行かないんですか?」

『私よりハニーの方が疲れてるでしょ?それに当てたのははじめちゃんとコネコなんだから。
楽しんどいでよ』

「む〜」


コネコはむくれていたけど、温泉は三人に行って貰う。

ハニーは私が寝込んでた間に起きた事件で、警察から頼まれて寝る間も惜しんで仕事をしているらしい
コネコは、それならリリアちゃんも!って言ってたけど、逆に動かないで安静にしてると言ったら納得してくれた

ハニーはアートから休暇を貰えたらしく、スリーと一緒にノーウェアにきてもらった


「肉体労働と違い、目に見えた疲労は出にくいものの、実は頭脳労働にともなう疲労はバカにならない
そのままにして働き続ければ、作業効率が低下するばかりか、最悪の場合、脳内血管に損傷を起こし死にいたる危険すら想定される
それを防ぐためには適度な休養が必要であり、つまり行ってあげてもいいわよ、温泉」

「素直に行くと言えないのか」


スリーが突っ込むと、ハニーはスリーを睨む
するとバースデイがハニーの横に回り込む


「一年ぶりだっつーのに変わんねぇなー、ハニーは。
つかどーよ、俺と婚約、ドゥーイングしちゃう?」

「doingしないわ
どうしてもと言うなら、あなたを岩に括り付けて湯船に沈める役目だけ買って出てあげてもいいけど」

「なるほど、岩盤浴というやつだな」

「なんですかその命尽き果てそうな岩盤浴…」


レシオの固定にコネコが突っ込むと、マスターが口を開く


「土産は何を頼むかな」

「つるつるたまご…」

「それどこの名物だ」


そのやりとりをハマトラの事務所である机に座っていたリリアを見て、ハニーは言う


「で、リリアは行かなくていいの?」

『いーの
心配してくれて有り難いけど、ぶっちゃけずっと寝てたみたいなもんだしねぇ』

「…そう」


目を伏せてハニーが呟く


「てかさ、逆にリリアと俺とハニーでよくね?」

「なにが逆になんですか
バースデイはどっちみち連れて行けませんよ。行くのは、はじめちゃんとハニーさんと私ですから」

「ハーイ?なしてギャルオンリーなんよ。
有り得なくね?」

『いや、バースデイが行くんだったら無理してでも私が行くわ』

「信用度0じゃん!?」


コネコはそんな会話を聞いて口を挟んできた


「しょうがないじゃないですか。当たったチケットは一部屋分、三名までなんですから」

「俺とハニーとコネコでいいじゃん」

「当てたのははじめちゃんですよ
それに、男女が一緒の部屋に泊まるなんて不健全です!」


バースデイはニヤリと笑い、ハニーの髪を掬いながら言う


「だから、不健全しちゃえばいいんじゃないの?」

「止めておけバースデイ。スリーに殴られたらいくら俺と言えど治療は難しい」

「誰が殴ると言った」

「殴らないのか?」

「…引き裂く!」

「何を?」


リリアがやりとりを見てクスクス笑っていると、ハニーが続けて言う


「よしなさいスリー。汚物に触ると手が汚れるわよ」

「汚物は言い過ぎだろ!訂正しろ」

「じゃあ、糸くずとか」

「適切だ」

「ごめーん、レシオくんの基準全然分かんなーい」


レシオは納得したように頷くと、端末を取り出して電話をする


「うだうだ煩いわね
あんたと話ていると肩が凝るわ」

「それは吾が輩のせいではなく、おっぱいのせいっしょ?」

『あ…』

「うっ…スリー、引き裂きなさい!」

「うわっ!ちょ、お前目が本気じゃねぇか!」

『ありゃりゃ』


スリーがバースデイを担ぎ引き裂いて?いると、私の端末が鳴った


《リリア!温泉行くぞ!》

『なに?依頼先でなんかあった?』

《あぁ。取りあえず来いよ》

『りょー』


端末をポケットに仕舞うと、丁度便利屋にも仕事が来たらしい


『じゃあまた会うかもね、ハニー』

「えぇ、今度は2人でお茶でもしましょう」

『あーいよっ
じゃ、またね〜』


私は代金を置いて店を出ると、ナイスとムラサキの元へ向かった
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