空色

□序章
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目を瞑ってうずくまって泣くよりも

前に進んだほうがいい


昔、母にそう教えられました


けど、そんなに簡単なことではないと後で思い知りました



「なぁなぁ、聞いたか?」

「何がだよ?」

「うちは一族ってあいつ以外全員殺されたんだってよ」

「マジかよっ!!」



二人の少年はある男の子と一族の話をしていました

少年二人の視線の先には黒い髪の男の子がいました

その男の子の顔は見えませんがきっととても悲しい顔をしていたのがよく分かりました




『あ…』




帰り道、あの男の子は立ち入り禁止と書かれている場所に一人で入っていきました

それは先日、滅びたうちは一族があった場所

男の子は何時間たっても出てきませんでした

心配になったので私は中に入りました




『…風引をひいちゃいますよ?』

「……」




奥へと進んでいくと大きな湖がありました

そこにあの男の子がいました

私が話しかけても無反応でした




「お前…誰だ?」




やっと返事が返ってくればこれです

ですが、私は彼は喋ったこともましてや視線を合わしたこともありません

当然の結果です




『隣のクラスのゆうきです』

「俺に何のようだ?」

『貴方がここに入って何時間も出てこなかったから心配したのです』

「余計なお世話だ」

『余計なお世話ですか……』

「そうだ」

『何故です?』

「何故だって?」

『悲しんでる人がいれば手を貸す』

「…」

『私は貴方が悲しんでるように見えたのです』

「…ほっといてくれ」




彼は消え入るような声で言いました





『そうですか』





私は座っている彼の背中に自分の背中を当てて座りました


















 
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