幻想水滸伝

ユビキリ ゲンマン
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雨が降っていた。


外に干していた洗濯物を取り込み、雨が中に入ってこないように塔中の窓を閉めた青年は、「ふぅ」と一息つくと、一人の少女を見やった。
そこには、憂鬱そうな顔をした少女。
しかし、青年がこちらを見ていると分かると、健気にも笑顔を作ってみせた。







―ユビキリ ゲンマン―








「明日は流星か…」


夜、燭台に灯された光に照らされながら、温かいお茶を飲んでいた男に、窓から入ってきた風が教えた。

男の空いたカップに次のお茶をそそぐ女は、一度手が止まったかと思うと、くすりと小さな笑みを零した。


「何かおかしいかい?」


「いえ」


お茶をそそぎ切ったカップを男の前に戻してから椅子に座ると、自らも温かいお茶に口付ける。


「昔もこんな事がありましたね」


カチャリと僅かな音をたて、お茶を置く。女は微笑みながら、しかし真っ直ぐに男の瞳を見ながら続きを話した。


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