幻想水滸伝

星の後には彼女の手
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吐いた息が、白く見える。寒さはこの身に感じたが、上着を取りに部屋へ戻ろうとは思わなかった。

見上げた空では星達が、まるで競い合うように瞬いている。降ってくるような星空とはよく言ったもので、見上げた星々は今にも空から零れ落ちそうなくらい一面に光っていた。

大きく息を吸い込むと、やはり空気は冬のそれらしく冷たかった。



寒さというのは、苦手だった。冬も特に好きな訳でもない。風は冷たいし、それを防ぐ為に服を何枚も重ね着すれば動き辛い。

元々活発に動き回るような人間でもないが、何かを余計に身に纏わせたり、身に付ける、というのをあまり好まない彼にとって、冬というのはそれだけで嫌いな部類に入るものだった。


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