進撃

□きっと夢中にさせるから
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「…わっかんねぇなー」

「そう?簡単だよ」

ジャンは目の前の崖を見上げ、その次に名前を見つめる。
小さな手はグリップを握っていた。

「いい?速く正確に飛ぶには自分がどう動くかを考えることが大切なの」

「んーそうなんだけどよ。わかんねぇ」

「じゃあ例えば、あの場所にアンカーを刺したとして、私はどう動く?」

名前は崖の窪みを指さし、ジャンを見上げる。
少し赤みがかった頬のまま名前はジャンを見るものだから、ジャンはドキドキしながら名前を見つめてしまう。
たがら多分口が滑ってしまったんだと思う。

「俺名前が好きだ」

「……へ?」

「……あ」

名前が持っていたグリップを離してしまい、地面に落ちた音が小さく響いた。

「えっ…と…」

名前は顔を赤らめながら細々と声を出す。

「わ、悪い!!気にしないでくれ!!」

「……も」

名前が本当に小さな声で顔を真っ赤にして言うのだった。

「私も、好き…です」

「え…」

「私も好き、だよ。ジャンのこと」

名前はおずおずとジャンを見上げ、ジャンの手をとる。

「ホントか…?聞き間違いとかじゃなくて…」

「ち、違うよ!私は本当にジャンが、好き、なんだよ?」

くらりとくる程の笑みがジャンを惑わせる。

「よろしくね。ジャン」

やっぱり俺は名前が好きだ。
名前以外、考えられないくらいに。
だから名前
お前にもそう思ってほしいんだ



きっと夢中にさせるから











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