日本一になりたい!

□あなたと一緒なら
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「どっか行きたいとこ無ぇか?」
「…え?」
お昼休み、屋上で私の彼氏青峰大輝が唐突に言い出した。
私は飲んでいたいちごオレを噴き出してしまいそうだった。
大輝がこんなことを言うことは初めてで、まして照れたように顔をそらしてしまったのだから。
「ど、どうしたの急に」
「…別に」
大輝は焼きそばパンを頬張りながら呟く。
もしかして
私は小さな心当たりを口に出す。
「亮太が言ってたこと気にしてるの?」
「っ!!」
図星か
大輝は顔を赤くし「バカじゃねえの!」と喚いている。
わぁーわかりやすーい
今日の朝練で亮太がGW-いわゆるゴールデンウィーク-に彼女と遠出をすると言うことを話していた。
確か私はいいなぁとか私も行きたいなぁとか言ったのだ。大輝はそっぽを向いて知らんぷりという感じだったのだが、聞いていたとは。
「じゃあ逆に大輝は?行きたいとこ無いの?」
「…旅行、とか」
焼きそばパンは食べ終わったのだろう、私の頬に手を添え目を合わせながら言う。
「お前は…?」
「私?私はねぇ…」
大輝がじっと私を見る。
私は言う。
「どこでもいいの」
「…はぁ?」
大輝は意表をつかれたのか間抜けな声を出した。
「どこでもって…お前なぁ」
「私は本当にどこでもいいの。」
「何で」
「だってどこにいても、たとえば土手とかにいても大輝がいるのにはかわりないでしょう?」 
「…」
大輝は黙ってキスをした。
そっと触れるだけのキスの後、大輝は照れたように笑った。



私はね
どこにいるかが問題なんじゃないよ
誰といるか
大輝といるかが大切なの
ねぇ大輝
大好き






fin

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