snow snow snow


□05:入学テストは北の森
1ページ/2ページ





「ーーー!ーー…!」



ああ、またこの夢だ……




「こんな…棗…ッ――まで…ッ」


「大丈夫だ…流袈」




心も体も傷だらけで眠れなくて




「何で2人ばかり…ッ」


「大丈夫……」





3人で誓ったあの夜


…あの時以降、棗の涙を見たことは1度もない




「心配すんなって、流架」




あいつももあんな状態なのにいつもみたく笑ってて


でも、その笑顔はあまりにも痛々しくて悲しそうで





「はやく大人になって、力が欲しい。取り囲むものすべてを打ち破るくらいのちからが…」





強さの代わりに行き場をなくした棗の悲しみは、一体いつまで





「強くなりたい…」





棗の心に降り積もっていくんだろう…


そして、あいつは





「なれるって、絶対に」





一体どこに、行ってしまったんだろう


どうして俺も、棗も





「絶対にあきらめたりしない」





あいつの顔も名前も


一緒にいたハズの日々のさえも


覚えていないんだろう





「…そうだな」




きっとこの夢もまた、目が覚めたら忘れてるんだ




一体何処に…








*・*・*





『…で?いつまでこうしてればいいのよ』

「おいうるせーぞ」

「そーだそーだ」

『うぬぬ…』


(くそ〜なんなんだよもう)

只今蜜柑達は北の森に、一方汐衣はというと


(ていうか、さっきからこんなんばっかじゃん…)

棗の取り巻きによって腕を後ろで抑えられ捕まってます☆



時を遡ること10分前…


「よっしゃ!さっそく出発や!」

『絶対みつけるぞー!』

「おー!」

「白だるまオメーは駄目だ」

『…はい??てか白だるまっておい』


「オメーは水玉が不正行為(卑怯な手)しないための囮役だ。ソイツが万が一戻ってくるまで、手を貸すことは許さねぇ」

「ふせいこういなんてせえへんわ!!」

『そーだよ!むしろ見張っとかないといけないじゃん!!』

「なんでやねん!」


「とにかく、つれていけるのはソイツ等(蛍と委員長)のみ。他の手助けは一切なしだ」





とかなんとか言ってたけど、なーんかひっかかるなぁ

囮なら蛍でもいいはずだけどなんか迷わずあたしだし

まぁいいけどさ



さっきから黙ってマンガを読む棗をチラリと見やる




…なーんか、鳴海先生といいアイツ(棗)といい

あたしなんかやったっけ?



「棗、あの雪だるまに何か気になることでもあったの?」

「…別に」

「…そう」




時は過ぎ、さらに20分後…


『……』

(くそ〜逃げ出そうにも取り巻きとかいるし、なによりあの棗ってヤツの隙がないことには無理だしなぁ)


『はああああぁ〜』←あからさまなため息

「…おい、流袈は?」

「え?さあ…どこでしょう」

「あ、オレ見ましたよ。なんか急いだ感じで北の森に向かってましたけど」

「……北の森の様子見させろ」

「はい」



「なあなあ、あの転入生北の森攻略できると思う?」

「あームリムリ!ベアの時点でリタイアに300円」

「そうかな〜意外とすげーアリスもってたりして」

「何言ってんのよあんな子絶対アリスのハズないに決まってんだから!だいたい及川さん、あなたにしてもまだ仲間として認めたわけじゃないわよ」

『はっ(他の子ならともかく)あんたの仲間だなんてこっちから願い下げですー』

「なんですって!?…まあいいわ、そーやって強気でいられるのも今のうちよ。今頃あの子、化けの皮が剥がれていい気味だわ!ねー棗君♡」



「うるせーぞお前ら。ここ(学園)はなんでもない奴がのこのこ入ってこれるほどヌルい所じゃねーって事ぐらいわかってんだろ」





しん…


(…へぇ)


「…そう、そうなの!私もそう思ってた所だったの棗君!」


「「「『……』」」」




…あの時、水玉に確かに力を使ったハズなのになにも起こらなかった


それにあのシロだるま…




いまだにスミレとぎゃいぎゃい言い合っている汐衣をチラッと見る




汐衣の髪の色も、瞳の色も、そして氷のアリスも、すべて見覚えがあった

しかしどこで見覚えがあったのか思い出せない


心の中で舌打ちする





なんなんだ?この違和感…




『ねぇ、いーかげん離してほしいんですけど』

「あら駄目に決まってるじゃない。あなたあの子が不正行為しないための人質なんだから。棗君が認めるまでそこでおとなしくしてるのよ」

『だ〜か〜ら〜蜜柑はそんなことしないって言ってるじゃんか』

「うるせーぞ転入生!それにお前アリス使って逃げようったってそうはいかねーからな。お前は氷でも棗さんは炎のアリスなんだぞ」

『……』


棗を見ると赤い瞳と目が合った

すぐにフイと視線をはずす



『別に…わざわざアリスを人に使おうなんて思ってないし』

「……」

『しっかーし!!』


Σビクッ


『いつまでも捕まってるわけにはいかないんだ〜よっと!』


汐衣は体をひねり、緩めた縄から腕を引き抜く


「あ!!いつの間に!」

「逃げるぞ!」


捕まえようとする取り巻きをひょいひょいかわし、あっという間に開いていた窓の淵に飛び乗った


『運動神経にはちょっと自信があるんだよね!じゃ!』


にかっと笑いながらそう言い残して飛び降りる




去り際に、また棗と目が合った


なんとなく気になったけど、北の森を目指すうちにあたしの思考は蜜柑達に変わっていた




「もう!まんまとしてやられたわッまさか窓から飛び降りるなんて!!」

「でもアイツむちゃくちゃだけど結構かわいいよな」

「あーそれは俺も思った」

「ちょっと!?いまそんな話してないのよ!ねー棗君どうしよう?」

「……」


バンッ


「棗さん!!さっきアリスで北の森透視させたんですけど、流袈くんあの3人に捕まってるみたいです!あの蜜柑っていう女に殴られたりして…」

「やだあいつら!流袈君のこと人質にとったわけ!?」


「…奴らの現在位置は?」

「あ、はい!」







次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ