snow snow snow


□03:紅い瞳の男の子
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「じゃ、僕は君たちのことを上に報告してくるから、ちょっとここで棗君と待っててね♡」


私達をなんかの部屋(応接室?)に案内した鳴海は、そう言って出て行ってしまった


棗って人はまだ気絶している


「ほ、ほんまに入れてしもうたな…あの鳴海ってお兄さん、ほんまに信用してええんやろか…は!まさか蛍まであんな仕打を!?」

『どうだろ、悪い人ではなさそうだけどね』

「なんかウチ不安になってき…「鳴海ー!!温室から勝手に鞭豆取ったのお前かーッ!!」ギャーーッッ!!」

『蜜柑この人起きちゃう!』






*校長室*



「アリス候補生?確かですか鳴海先生?」


「はい。学園前で偶然二人見つけまして。…僕の勘が正しければ、一人は大変貴重なアリスを持つ子」


「ふむ…」

      
「そしてもう一人は……片割れ、かと」





*・*・*



「ナニナニ、鳴海を本当に信頼していいかわからない?」


いきなり入ってきた男の人は岬先生というらしい

不安が取れない蜜柑によって、いつのまにか岬の悩み相談室が開かれていた


(蜜柑も心配性だなぁ)


岬にかくかくしかじか悩みをぶつける蜜柑をよそに、のんきに置いてあった紅茶を入れて飲んでいる汐衣


(…にしても)


ちらっと棗を見る

鞭豆によって打たれた棗の頬は、赤く腫れて見るからに痛そうだった


(一応冷やすかなんかしたほうがいいんだけど)

リュックから桜柄のハンカチを取り出し、アリスで程よく湿らせて冷やす


ぺそ

「う…」


とりあえず、ないよりましだよね!うん!


その様子を見ていた岬は驚いて、

「君は…氷のアリスなのか?」

『あ、はい』

「ふむ…さすがに上手くコントロールできてるな」

『あーよくこっそりアリスで遊んでたので』

「そうか」


「ところでこのお面ってなんなんですか?」

「よく話がかわるな君は…それはアリス完全制御面だ。本人の意思では取れないし、主に罰則などに使われている」



「黒猫は避けて通れって言うだろう」



罰則…



「まあこの子にしてみたら、いざとなればこんな足かせ、意味のないものになってしまうんだろうが」

『……』

「じゃあ俺はもう行くが、もし鳴海が戻らないうちに棗が目を覚ますようなことがあれば、すぐにそこの緊急ボタンを押しなさい。いいね?」

そう言い残し岬先生は部屋をでていった


『よかったね蜜柑』

「うんっ安心した!もうすぐ蛍に会えるで!」

『やっとだよ〜!ここまで長かったね…!』

「せやなぁ…!そういえば汐衣のアリスってなんなん?」

『切り替え早!いいけど!』

「教えて教えて!」

『私のは…ッ蜜柑うしろ!』


「え」


ぐいっ


ダンッ


「ッ!?」


「5秒で答えろ。答えなかったらこの髪燃やす。お前ら何者だ」


起きたーー!!!


棗は蜜柑をソファに抑えつける

蜜柑、驚きとパニックで硬直


『ちょっと!いきなりなにすんだ!蜜柑をはなせ!!』

「おいてめえも騒−−ッ!?」

『?……なによ?』

「…騒ぐな、こいつ燃やすぞ」


(今…)


今この人、一瞬だったけど


私のこと見て鳴海先生と同じ反応した?



「ゆ、汐衣〜〜」

『(ハッ)ちょっとやめろって言っ…』


フッ

ガッシャーン!!!


「ギャーッッ!!」

『わああびっくりした!!窓から人!?』


飛び込んできたのは、金髪で青い眼をした男の子

(外人…いや、ハーフ!?)


「…遅かったじゃん、ルカ」

「ったく誰のせいだと思ってるんだよ、棗」


流袈と呼ばれた子はガラスを払いながら立ち上がる


「…誰そいつら」

「起きたらいた。喚くだけで正体言わねーし、とりあえずこっちの奴(蜜柑)は泣かしとこうと思って」


「(Σなぬーッ!?)あ!汐衣緊急ボタン!」

『あ、そっか!さすが蜜柑!え〜と、どこだっけ…?』

きょろきょろ

「早くううーッッ(泣)」


「ちっおいルカ、この水玉抑えてろ」

「うん」

『あった!』

ガシ

ぐいっ


『わぁ!』

「じっとしてろっつーのがわかんねーのかてめえ」


緊急ボタンを取ろうとした汐衣だったが
棗に後ろで両腕を捕られてしまった

『離せコラーッ!!あんた蜜柑になにもしてないでしょうね!?』

「ギャーギャー暴れんな!雪だるまは雪だるまらしく黙ってろ!!」

『ゆ、ゆゆゆ雪だるまぁ!?私のことか撤回しろー!』

「(認めてるし…)」


ドタドタ…

「あ、ヤベ人来たぞ」

「行こう棗」

「おう」

ぽいっ

『うわぁっ』ドテッ


部屋の扉が勢い良く開かれ、鳴海と岬が飛び込んでくる


「2人とも大丈夫!?」

蜜柑は半泣きで鳴海の元へ駆け寄り、汐衣は床に尻もちをついて腰をさすっていて、棗と流袈はちょうど窓から逃げるところだった


「棗!」

『まてこのやろー!!』

「…」


汐衣が叫ぶと棗と流袈はそのまま振り返り

「じゃーな、水玉パンツと雪だるま」


ぴらっ


・・・え


そう言い残し軽やかに逃走


「!!??」

「あっ脱がされたの??」

『え゛ぇぇ!!いつの間に!?』



※さきほどの会話をもう一度お聞きください

「おいルカこの《水玉》抑えとけ」

「?うん」




「ひ、ヒギャァァーーッ!!!!!」


このあと蜜柑は10分間泣きじゃくりました





「棗それは?」

「起きたらあった」

「冷やしてくれてたのかな」

「流架、あの雪玉…」

「え?」

「いや、なんでもねえ」

「?」

「……」




「蜜柑ちゃんへの課題は、クラスの子たちと一週間以内に仲良くなること」


蛍との再会を果たしたのもつかの間


「もちろんこれは汐衣ちゃんにも言えることだからね」



ガラッ

ざわざわ



「じゃ、2人ともみんなと仲良くね♡」


「『(なんだここー!?)』」



二人で飛び込んだのは



荒れ放題の、初等部B組





to be continued…
 

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