snow snow snow


□01:プロローグ
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「汐衣、俺行ってくる」



夕日が赤く照らす病室

私はベッドに横たわっていて、――が枕元でそう言って笑った




行くって何処に?


行かないで



そう言いたいのに、声が出ない



「俺さ、お前といままで過ごせてほんと楽しかった」



まってよ



「まあケンカもすげーしたけどな」



1人で行かないで



「俺は大丈夫だから」



うそつき


いつもそうやって強がってばっかじゃん



「たぶんお前も、遅かれ早かれ学園に来ることになるかもしれないけど」



ねえ



「それでも…」



だめ



「絶対に、護るから」



独りにならないで



一緒に行く




「ごめんな…汐衣」




そう言って、私の額にそっと手を乗せる



「だ…め…」




まぶしい


頭の中が、光によって白くなっていく感覚


意識がだんだん遠くなる




やだ…やだよ



消しちゃだめ



忘れたくなんかない




だって私たちはーーーーーーー









夕日に照らされた病室には、ベッドに眠る女の子だけ


その頬を、ひとすじの涙が伝った




 
 

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