闇の皇太子

□今度こそは幸せに。
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甘后で転生パロです。前に書いたものとは別物です。言は出てきません。
前世で甘雨は后を残して死んでしまって、それを后が夢で見続けているという話です。二人は付き合っています。小説というよりは小ネタです。





「后。ごめん、最後に一つだけお願いがあるんだ。」

いつも甘雨は俺少し先を歩いていて、悲しそうな声でつぶやき振り返る。そのとき見える顔も悲しそうで。そして俺が震えて小さい声で「どうした?」と尋ねるんだ。

「もうちょっとこっちに来てくれないか?」

甘雨がそう言うと俺は何歩か進んで近づく。すると甘雨は強引に俺の腕をつかみ引き寄せる。そしてキスをするのだ。最初は軽く、だんだん深く。

「んっ、、、。」

「ありがとう。本当に、俺は生まれた時からお前だけを愛してたぜ。后。」

「甘、、、雨、、、?」

「来世では幸せにしてくれよな。」

そう言いもう一度軽くキスをすると、甘雨は一度今にも泣きそうな笑顔浮かべ俺に背を向け歩き出す。そして、俺は引き留めたいのに金縛りにでもあったかのように体が動かないのだ。姿が見えなくなってようやく俺は走り出す。でも、もう遅くてそこに甘雨はいなくて、俺は大声をあげて泣くんだ。

パチッ。不意に目が覚める。

「また、この夢、、、。」

時計を見るともう3時を回っていた。そして隣を見る。そこには先程夢で消えて行った彼の姿。

「よかった、ちゃんといた、、、。」

俺は横で眠る甘雨の手を、存在を確認するようにぎゅっと握る。

「甘雨、、、。消えないでくれ、、、。」

夢の中の俺たちが何者なのかなんて分からない。もしかしたら前世だったりするのかもしれない。ただ、今の俺たちは2人とも普通の高校生で。周りの人には言えないけれど恋人同士で、とても平和で幸せなんだ。この手の温もりが消えてなくなってしまうことなんてない。分かってはいるんだけど。

「ん、、、后?」

「あ、ごめん!起こしちゃったか?」

「いや、大丈夫。后こそ大丈夫か?」

「え?」

「手、震えてるぜ。また、俺の消える夢でもみたか?」

その言葉にビクッとして、思い出してしまう。そして震えが止まらなくなる。

「あっ、、、甘雨、、、うっ、、、。」

「ごめん、余計なこと言ったな。」

泣き出してしまった俺に甘雨はそう言い、抱きしめてくれる。

「大丈夫、俺は消えたりしない。ずっと后のそばにいる。」

「本当か、、、?」

「ああ、絶対だ。」

その甘雨の言葉や体温に安心したのか、震えはいつのまにか止まっていた。

「明日も早い、もう寝ようぜ。」

「うん、、、。」

「愛してる、后。」

そう言い、甘雨は俺に軽いキスをする。夢とは違い、言葉もキスもどれも幸せだ。

「俺も、、、。」

俺はそう返すと、安心して甘雨の腕の中で眠りにつく。

「大丈夫、今度はもう絶対離さないから。」

甘雨のその言葉を寝ていた俺が知るはずもなかった。
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