闇の皇太子

□生まれ変わっても
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甘雨視点

今日はあいにくの雨だ。雨も昔は嫌いじゃなかった。俺は水を操る式神だったから。でも、それもあの人がいたからだったのであろう。今はこの雨がとても憎く思えてしまう。あの人にすごく会いたい。

「今日もまた見つからなかった、、、。」

もう何回も転校しているし、休日はこうして電車などに乗り遠出して探しているのだ。たった一人の人を。でもさすがにもう探し始めて何年になるだろうか。あの人に会いたくて、会うことだけを希望にがんばってきた。でもいまだに見つからない。

「はあ、、、。」

思わずため息が出る。俺は生まれたときから前世の記憶があった。その前世にはいつも俺の大好きなあの人がいて、どうしても会いたくて。たとえあの人に記憶がなくても俺は会いに行こうと決めた。でも、いくら探しても見つからない。

「もう、会えねえのかな。」

自分で口に出して悲しくなる。空を見上げた俺に容赦なく雨が降りかかってくる。もういっそ、こんな記憶ないまま生まれてこれたらどんなに楽だっただろう。そんなことまで思えてくる。そんなことを考えながら雨にあたっているとなぜか涙まででてきた。一度溢れると止まらない。

(まあいいや、雨に濡れてるからどうせわからないだろう、、、。)

そのまま、夕食を買うために近くのコンビニに入る。泣いた顔を見られないためにうつむいたままだ。

俺は知らない、このあとあの人に再会することになるなんて。
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