闇の皇太子
□月と星
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「兄さん、知ってる?」
「ん?何を?」
晴明との兄さんの修行が終わり、今は兄さんと2人で帰路についている。もうすっかり真っ暗で、今日は晴れていたから星も月も綺麗に出ている。
その空をみていると、前に聞いたことで兄さんにいってみようと思っていたことがあったのを思い出したので口に出してみる。
「I love you≠チていう言葉を月が綺麗ですね≠チて例えた人がいるんだって。」
「へー、、、ロマンチックな人もいるんだなあ。」
兄さんはちゃんと僕のことを好いてくれているのだろう。もちろん、僕のことが一番好きなことも分かっている。けれど、兄さんは僕のことを弟≠ニして好きなんだろう。でも僕は、兄さんを兄≠ニいう目線だけで見ているわけじゃない。
僕に光を与えてくれたのは兄さんだ。僕の世界には兄さんしかいない。でも、兄さんの世界にはたくさんの人たちがいる。それがどうしても許せなかった。そして気づいた。これは兄≠ノ対して持つ感情ではないということ。そして僕は、兄さんに恋≠しているということ。
「兄さん。月だけじゃなくて、今日は星も綺麗だね。」
「お、本当だ!こうやって月とか星を眺めるのもいいなあ、、、。」
「うん、ほんと。」
そう思っているとつい顔が曇っていたらしい。兄さんが顔が心配そうな顔を向けている。
「言?、、、大丈夫か?」
あくまで自然に見えるよう笑顔をつくる。
「ならいいんだけど、、、。」
ほんと、兄さんは鈍感なんだから。
婚約も結婚もいつだって僕は本気でいっている。兄さんは僕の好意なんて、小さい娘が父に「将来、お父さんのお嫁さんになる!」っていう感情くらいにしか思っていないんだろうな。
「ほんと、、、今日は星が綺麗だね兄さん。」
「?、ああ。」
「よしっ、兄さん帰ろう!お母さんたち心配しちゃう。」
その後、元気よくいって兄さんの手を握る。
「そうだな、急ごう!」
星が綺麗ですね
きっと兄さんは知らないだろう。
それでいい。
この言葉の意味も僕の気持ちも。