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□休息
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最近、楽しみができた。
それは、このカフェで過ごすこと。
それはもう毎日と言っても過言じゃない。いわゆる常連客だ。
紅茶の味も特別美味しい訳じゃないし、内装もまぁ普通に落ち着いている。それなのにここまで通うのは多分彼に会いたいからだ。
彼は、このカフェでバイトしている学生らしい。名前は来栖と言うらしい。名札にそうかいてあるしね。
いつか下の名前が知りたい。
そんな彼は行動が面白い。ずっと見ていても飽きないくらいには。
背が低いことを気にしているのか、店内でも帽子を被っている。
高い位置の物を取ろうとして背伸びをしているのがとても可愛らしい。
この間は、床が水で濡れているのに気付かずに滑ってころんでいた。そのときは、思わず笑ってしまった。
そして何よりいつも笑顔なのだ。こちらまで元気が出るような。
「おまたせしました。」
いつもの笑顔で注文した紅茶をもっていきてくれた。眩しい。
「ありがと」
「こちらこそ、いつもありがとうございます!」
なんだ、僕のこと気付いていたんだ。
彼はそう言うと背を向けて業務に戻っていった。
ただ眩しく感じた彼の笑顔が今ではすごくドキドキする。
もしかしたら、これが恋なのかな。
うん。なんだかすごくしっくりくる。
なんだか、温かい気持ちになった。
「いつもありがとうございます。美風さん」
最近名前を聞かれてそれ以来よく呼んでくれるようになった。
ボクも彼の下の名前を聞くことに成功した。"翔"と言うらしい。
とても彼らしい名前だ。
彼ともだいぶ仲良くなった。
バイト終わりに2人で寄り道をしたり、休日は遊びにも行ったりした。
よく頑張ってるよ。本当に。
そんな今日もショウと遊びに行く。
今日こそこの想いを伝えたい。
きっと大丈夫。今まで頑張ってきたから。メールアドレス聞いたり、遊びに誘ったり。
「遅れてすみません!」
「大丈夫だよ。行こうか」
やっぱりショウはいつでも笑顔だ。
その笑顔がボクの背中を押してくれる。
「ねぇ、ショウ。ボクははじめてキミを見たときからキミに恋してるんだ。」
「え!?…?!」
驚き過ぎて言葉にすらなってないよ。本当に面白い。ずっと見ていられる。
「返事は?」
「っ!!…お、お!…俺も…です。男同士だし絶対無理だと思ってて、だからその驚いたというか…」
「嬉しい。好きだよ、ショウ。」
ショウの顔がどんどん赤くなる。
あ、これが幸せかな。心が満たされてく気がする。
思わずショウを抱きしめてしまった。
ショウも腕の中で大人しくしてるし、抱きしめ返してくれた。
「美風さん。また、明日!」
「ダメ。今日からは藍って呼んで。」
「あ、藍…また、明日な!」
「うん。また、明日」
明日からはますますカフェに行くのが楽しみになったよ。
休息
彼の笑顔が1番の薬
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