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□Because of You(20140207)
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petit lapinくるみ様の20140207エアリス誕生日企画

今月はまあまあだった。
エアリスは家計簿をつけながら頷いた。
始めて雇ったボディガードは良い働きをしてくれて、今月は栽培している花と野菜も予想より多目に収穫できた。
スラムの孤児院にも寄付ができそうだ。

「今月は大分売り上げよくて良かったな」

雇ったボディガードと花畑の雑草抜きをしながら微笑み合った。

「クラウドのおかげだよ。ありがとう。何かお礼をしないとね」

エアリスは最初クラウドを見たとき、凝った髪型なので美容師さんかと思っていた。
クラウドはぶちぶち雑草を抜きながら考えた。

「やっぱりまたデート一回追加だ」

「そ、そんなのでいいの?」

「もっと何かくれるのか」

「う〜ん」

エアリスはできればもっと売り上げを伸ばしてきちんと給料を払いたかった。

「待っててね。もっと売り上げを伸ばして給料を上げるから」

「それも楽しみにしている」

雑草も山積みになり、植木の手入れも終わって2人は夕食の準備に入った。
行くところもないクラウドはしばらくエアリス家に住み込みで働くことにしていた。
エアリスの母親はこの見知らぬ青年をまだ信用していなかった。

「エアリスの手、ずいぶん荒れたな」

エアリスは自分の手をかざしてみた
。確かに初めてクラウドに会った時の状態と比べてかなり荒れていた。

「花壇が増えたから仕方ないよね。
でも私はこっちの手の方が好き。よく使って役に立ってる手だから」

自家製栽培のキャベツの葉を剥きながらエアリスは言った。
次の日、フラワーアレンジの先生の教室でエアリスはある高山植物の花の押し花を見た。

「これはすごく標高の高い所にしか咲かないから貴重な花なのよ。」

エアリスは星の形をした花に一目で魅せられた。
ボディガードのクラウドと帰り道で話しながらその花の話題になった。

「エアリスはその花が欲しいのか?」

「今度のフラワーアレンジの大会に使いたいから欲しいな。でも高い山にしか咲かないから、
取りにいかないといけないから難しいかな。」

「じゃあ山の場所を教えてくれ。今度取りに行ってくる」

調べたら星の花は寒い季節に一週間程しか咲かないらしかった。
時期を待ってクラウドが花を摘みに行くことになった。
エアリスが家で作った薬草や食料を渡されて、クラウドは高山に花を摘みに出掛けた。

「気を付けてね。クラウド」

クラウドは自分のバイクに乗ると振り向かずに出発した。

「あの人やっと出ていってくれたのね。
今時一ギルで仕事を請け負ってくれる業者なんていないよ。
あんた騙されてたんじゃないの?なんか下心でもあるんじゃないの?」

「そ、そうかな!?」

エアリスは母親の言葉に不安がよぎった。
確かに衣食住付きと彼の希望とは言え、一ギルでこき使ってしまい、クラウドには一体何のメリットがあるというのだろうか。
このまま彼は帰って来ないかもしれない。エアリスは悲しみが込み上げてきた。
もし帰ってきてくれたらもっと給料を上げてあげよう。
2、3日後、そう思いながら薬草の鍋を煎じていると、クラウドが唐突に帰って来た。

「帰ったぞ」

「クラウド!良かった。無事だったんだね!」

クラウドはかご一杯に貴重な花々を背負っていたが、肝心の星の花はなかった。

「似てる花はあるけど違うね」

「残念だな。俺一人では分からない。やっぱりエアリスも一緒に来てくれ」

「え、う〜ん。そうだね。そうしよう」

翌日、母親の不安を他所に、寒さに備えてたくさん着こんだエアリスはクラウドのバイクの後ろに乗った。

「じゃあ宜しくね。クラウド」

「しっかり捕まっていろ」

山はほとんどが冬の枯れ野原だった。

「この先に草花が生えている場所がある」

しかし2人が着くと、咲いていた花は既に枯れてしまっていた。

「しまった。遅かったか。」

「残念だね。せっかく頑張ったのに」

2人は帰りながら、チョコボを放牧している牧場に寄り道した。エアリスは牧場主に聞いた。

「この辺で星の形をした花を探していたんですけど、見かけたことありませんか?
さっき見た場所ではもう花は枯れてしまっていたんです」

「それなら火山の火口付近に行ってみたら?あそこならまだ咲いていると思うよ」

「本当ですか!?」

火口付近は舗装された道はないので、2人はバイクを置いて、牧場のチョコボをレンタルすることにした。
クラウドはエアリスを前に座らせてチョコボの手綱を握った。火口では煙が上がっていた。

「変な竜がいる…」

火口の周りを一頭の竜がうろうろしていた。

「俺があの竜を引き付けるから、その間にエアリスは花を探してくれ」

「分かったわ」

2人はそれぞれ2手に分かれて火口付近に近づいた。

「よし、頑張るぞ!」

エアリスが花を探している間に、クラウドは竜を引き付けて逃げ回った。

「あったわ!この花だ」

エアリスはピンクの星の花をようやく見つけて、背中に背負ったかごに数株入れ込んだ。
チョコボの背中にかごをくくりつけていると、その鳴き声に気付いた竜がエアリスの方に向かった。

「エアリス、危ない!!」

クラウドはエアリスを庇って抱え込んだが、竜は暫く経っても何もしてこなかった。

「この竜怪我してるんじゃないかな」

エアリスは竜が爪先を気にしているのに気付いた。
エアリスが調べたら竜の足の裏には木の棘が刺さっていた。
抜いて手当てすると、竜はお礼に2人とチョコボに背中に乗るように促した。
牧場まで竜に送ってもらって、竜と牧場主に礼を言うと、2人は花の株を持ち帰った。
エアリスの持ち帰った花は、手入れの甲斐もあって栽培に成功した。

「はあ、良かった。これでお花が使える…」

エアリスは花摘みや栽培の疲れで、花畑の上ででうとうとしていた。
黄色い蝶が頭の上をひらひら舞っていた。
目が覚めて隣を見ると、クラウドが横になっていて、エアリスは飛び上がった。

「そんなに驚かなくていいだろ」

「ご、ごめんごめん。急に隣にいたからびっくりしちゃった…。いつからいたの?」

「ずいぶん前からだ。そんな無防備に寝ているから心配になった…。」

「ふふふ、ボディガードだからね。ありがとう。」

「エアリスは寝ながらイビキをたてるんだな」

「えっ!?嘘でしょ!」

「嘘だ」

「もう、びっくりしたじゃない」

エアリスは胸を撫で下ろした。

「なあ、何でこんな所で寝てたんだ?」

辺りは花の香りで満ちていた。

「理由を聞いて笑わない?」

「笑わない。約束する」

エアリスは息を吸い込んだ。

「こうしてるとね。お花や野菜の気持ちが分かる気がするの。
それで元気に育ってくれてありがとうって言ってあげると、喜んでる気がするの」

「ぶっ」

クラウドは吹き出していた。

「わ、笑わないって言ったよね!?」

「ごめん。でもそんな風に大切に育てるからエアリスの野菜や花はよく育つんだな…」

「そうかな。」

「そうさ、きっと…エアリスの周りはいつも春みたいに暖かいしな。
ところでいいハンドクリームを見つけた。エアリスにやるよ」

「わあ、ありがとう!クラウド優しいね」

「まあな」

そうして2人はフラワーアレンジの大会の日を迎えた。

「じゃあ売り子は頼むね。クラウド」

「わかった。がんばれよ」

大会の出店をクラウドに頼むと、エアリスはクラウドからもらったハンドクリームをつけて競技に挑んだ。
時間ぎりぎりに完成したブーケは他の作品と一緒に審査員の前に展示された。
一時間位はらはらしながらエアリスは審査員達を見守っていた。審査が終わり、大会委員長がマイクを持った。

「それでは大賞を発表します。『星の花達』エアリス・ゲインズブールさんです」

「や、やったあ!!」

エアリスはガッツポーズして飛び上がった。
賞金とトロフィーを受け取って、エアリスはクラウドの出店に急いだ。
出店は女性客で一杯で、エアリスは目を丸くした。

「ク、クラウド!優勝したよ!見て!」

お客を掻き分けて進もうとしたエアリスは、反対に押し戻された。

「はあ、はあ…私のお店なのに入れない、なんて…」

「今日はもう売り物は全部売れたから閉店だ。」

「ええ〜」

クラウドがそう言うと、女性客達はしぶしぶ帰っていった。

「大丈夫か?」

クラウドは倒れたエアリスに気付いて、手を引いた。

「大丈夫。ありがとう。クラウドってやっぱりもてるんだね。かっこいいもんね」

「まあな。嫉妬か?」

クラウドは口の端で笑った。

「ち、違うよ!」

エアリスは服の埃を払いながら首を振った。

「う…即答かよ。少しは嫉妬しろよ。」

「そんなこと言って〜、またお母さんから誤解されるよ」

2人は出店を片付け始めた。

「俺はエアリスに興味がない訳じゃないから、お母さんは間違っていない」

「きゃ、ほんとかな〜嬉しいな」

2人は冗談を言い合いながら店を片付けた。

「そうだ。クラウドのハンドクリームのおかげで優勝できたよ!ありがとう」

「さすが俺の女だ。よくやった。」

「え、えぇ!?私、クラウドの女だったの!?冗談だよね!?」

「冗談だ」

「もお〜びっくりするじゃな〜い」

「少しは本気で受け止めてくれよな…」

「はいは〜い。あ、そうだ、賞金で今までみたいに売り子じゃなくてちゃんとしたお店を立てようと思うんだ。
クラウドの給料も上げたいし。」

クラウドはふっと笑った。

「それもいいがデートもう一回追加にしてくれ」

「またデート?もう何回目かな〜」

「まだ101回だ」

「か、数えてたの!?」

「当たり前だ。大事なことだ。」

エアリスはこれを機にお店が流行ればまた町を活性化できると楽しみだった。

「春にはお店をオープンさせたいね」

「そうだな」

クラウドに赤ずきんみたいだとからかわれたコートをかぶりながら、
エアリスはもう春は近い小鳥の鳴く空を見上げた。

END

投稿者 彩
企画名「君に会いたい」
20140207エア誕生日企画
参加させて頂いてありがとうございました!

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