Purple road―紫色の堕天使達―

□第27話 能ある鷹は爪を隠す
2ページ/5ページ

相も変わらず睨みつけてくるその男に動じるでもなく、燎はゆっくりと歩み寄る。

決して視線は逸らさず、真っ直ぐに相手の目を見て。やがて射程距離に入ると、ニヤリと小馬鹿にしたような表情を浮かべながら下からのぞきこんだ。


?「てめぇどこのモンだ?」

燎「そう言うお前はどこのモン?」

?「コノヤロー…聞いてることにっ!」燎「どこのモンなんだよ、アァ!?」


相手の問いにさらに問いで返す燎。そのやり方に腹を立て、その男は激昴するも、さらに圧をかける燎の前では無力だった。


?「み、美崎のモンだよ…」

燎「へぇ、美崎の何年なの?」

?「いい加減にしろよてめぇ、どこのモンだって…燎「何年なんだよ!?何年…?」っ…」


しびれを切らしたその男は、燎に食ってかかるが、これまた燎の圧力により無力化される。


?「に、2年だよ…」

燎「夏目の後輩かよ…許してやるから行きな。」


自分の友人の後輩だと知ると、燎は呆れたようにそう告げた。しかしこれが逆効果であった。その男はイライラしたように懲りることなく質問した。


郷「俺は郷田ってモンだ…何様か知らねえが、どこのモンか名乗れっつってんだ!」

燎「ったく、しつけぇ野郎だな?西高だよ。」

郷「西高だぁ?親睦はあるけどよ、てめぇみたいな奴は知らねえぞ。よそ者が威張り散らしやがって…」

燎「そんなに喧嘩したいなら…よ?お前んとこの大将の夏目にきいてこい。“葉月ってのと喧嘩して、泣かされてきてもいいですか”ってな。」


尚も突っかかってくる郷田に、燎はイライラしていた。しかし表情には出さず、笑みを浮かべながら言うことにより郷田の戦意を無くす作戦に出たのだ。


郷「な、夏目くんがなんだ?俺はあの人の舎弟でもなんでもねえんだ。調子こいてんじゃねえ!」

燎「ああ、そう?じゃあ遠慮なく……」

郷「あ?」


次の瞬間、燎の右拳が郷田の顔面をとらえた。郷田は衝撃に耐えきれず、海におちたのだった。呆れたようにため息をこぼすと、燎は再び歩き出す。


燎「女連れは女連れらしく、道の端っこ歩いてろや…“田吾作野郎”が。」


ありったけの嫌味をこめて、唾を吐きかけて学校に歩いていく燎を郷田はしっかりと確認する。そうしているうちにプカプカ浮かんでいる郷田に声をかける者が現れた。


?「なぁにやってんだ郷田ァ、海水浴かぁ?」

?「それにそのキズなんだよ?まけたんじゃねえだろうなあ?」

郷「“マコ”ちゃん、“コウ”ちゃん…」


マコちゃん、コウちゃんと呼ばれるその2人はゆっくりと海岸に降りていく。やがて郷田を引き上げると、タオルを投げ渡した。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ