Purple road―紫色の堕天使達―

□第25話 波乱の公道狂騒曲
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政「噂にゃ聞いてたけどよ、お前本当に麗羅の副総統なんだな!しかも速ぇ!」

新「俺よりも格上が1人居るけどな!」


新開のバイクに2ケツし、颯爽と飛ばしながら会話する2人。唸る直管が心地いい音を出している。

彼らは幼なじみで、幼少の頃から悪さをしてきた、いわば悪ガキ同盟と言っても過言ではない間柄である。


政「そんなに速ぇのかよ、一色って奴ぁ!」


そんな会話をしながら、着いたのは海の見える丘。バイクを停めるなり新開は、政春の質問に答えた。


新「…速ぇよ。単車に乗らせりゃ未だにブッチ切られちまう。あいつは、俺より遥かに強ぇ。重さも、背負ってるモンもなにもかも違うって思った。」

政「…お前がそんなにまで認めるなんてな。」

新「まあよ、お前にはわかんねえだろうな!お前、そーいうのに鈍感だし。」


こうまでして慕うその男に、政春が興味を示した。

それほどに強いのなら、自分もそいつと喧嘩がしたいと。自分もそいつと走ってみたいと。


政「なあ、辰也よォ…」

新「あ?」

政「もし俺が、お前ら麗羅の連中と単車で勝負するとしたら、、お前は俺を止めるか?」

新「…本気かよ?お前とはやりたくねえ。考え治せよ…」

政「俺よ、試してみてえんだ。地元じゃ誰よりも速ぇって信じて単車走らせてきたし、俺がどこまで通用するか…」

新「政春………」


なにかの冗談かと疑いたくなる、馬鹿げた話。あざけて見せても通用しないと辰也は感じた。そう語る政春の目は、なにかを覚悟したような真剣な目をしていたのだ。

その日はそれで政春と別れ、再開から1週間が過ぎても辰也の中の胸騒ぎは何一つとして消えてはいなかった。少しでもこの気持ちを振り払いたい、そんな思いからか辰也は今愛車を走らせている。


新(クソッタレ、攻めても攻めてもモヤが晴れねぇ!)


今の辰也の走りは、いつも辰也が走るペースよりも遥かに速く、鬼気迫るものがあった。いつもより愛車のマフラーから奏でられる音が甲高い、その音はまるで苛立ちから放たれる咆哮。

どれだけ攻めてもまるでスッキリしない、そんな辰也が異変に気づくのはしばらくしてからだった。


新(張り付かれた…いつの間に?)


辰也のやや後ろ、見知らぬバイクがピタッと張り付いていた。いつもの辰也ならシカトするのだが、今日に限っては話は違った。


新「今日の俺は機嫌が悪いモンでよォ、特別に相手してやるぜ。ロケットカウルに三段シートだからって、ナメてやがると知らねえからなァ!」


そう告げると辰也は、愛車のスロットルをさらに捻る。甲高い直菅を唸らせ、辰也のCBXは更に加速した。

しかし驚くべきは違うポイントである。なんと相手は辰也にしっかりと着いてきているのだ。
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