Purple road―紫色の堕天使達―
□第22話 麗羅二代目回想録[中編]
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葛「やっぱし背中に赤い文字で麗羅ってバシッと入れるしかねぇべ?チームジャンパーなんだからよ。」
京「だから黒文字の方が渋いんだって。俺の特攻服みたいに、バシッとしてるべ?」
葛西が麗羅入りを果たして半年が経過し、西湘に冬が来た。そろそろ所帯も大きくなってきたということで、葛西はジャンパー作りを提案したのだ。
そんなわけで、今は京介のアパートでデザインを考えている。色は白、背中に麗羅と刺繍を入れることは異議なく決定されたわけだが、問題はここで起きてしまった。
葛「文字色くらい兄弟の意思尊重してもいいんじゃねえのか…?」
京「ジャンパー作りを採用した時点で、意思は尊重してるんだがな…?」
2人は文字色のことで睨み合う。問題とは、刺繍の色の事である。葛西の言い分は、ジャンパー作りを提案した自分こそが支配者である、という俺様至上主義理論。
対する京介も、チームのアタマは自分であり全てを征する覇者である、ゆえに自分こそが何事においても支配者である、というこれまた俺様至上主義理論。2人の俺様主義者がぶつかるのは当然で、早くも取っ組み合いが始まった。
葛「なに言うかこのヤクザもどき!なんだその髪?サイドバックなんて漫画気取りの不良だぜ!」
京「やく、ヤクザもどき!?どの口が言ったてめぇ!リーダーに向かってよォ!?だいたいなんだ金髪のリーパーって!王道すぎてつまんねえんだ、このションベン色の便所タワシが!」
葛「はぁぁぁぁ!?ションベン色だァ!?便所タワシだァ!?なんの個性もねえしょっぱいリーゼントと一緒にすんな!ジャンパーと関係ねえだろうが!」
京「作者に言えやそれ。」
葛「やめろやめろ!そういう発言はやめろ!」
不毛な争いの末、京介がとんでもない事を口走ったのに対し、葛西が口を塞ぎながら慌てる。そんなやり取りをしていると、チームのマドンナが遊びに来た。
美「うるさいなァ、家揺れてましたよー?誰か来てんですか京介さん?」
京「この便所タワシがよ。」
葛「誰が便所タワシじゃ!」
美「あっ………/////」
美雪の挨拶に、不貞腐れたように京介が言った。それに噛みつき首をしめようとする葛西を見るや否や、美雪は顔を赤らめ恥ずかしそうに俯いたのだ。
その不思議な様子に京介は興味深そうに、またイタズラっ子のような顔つきで美雪に訊ねる。
京「お?おろ?お前まさか……」
美「な、なんでもないですよ先輩…///」
京介は確信した。
京(図星だ …)
美雪は必死に平静を装う。
美(言えないっ!助けてもらったあの日から、葛西くんに一目惚れしたなんて!思うほどに大好きになっていくなんて!)