Purple road―紫色の堕天使達―
□第19話 中坊日記4
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流「なぁにしてんだぁ?楽しそうなことしちゃってよォ…」
「と、トオルさん!…てめぇら終いだぜ、トオルさんが来ちまったら死んだも同然だからな!」
二ヒヒと笑いながら駆けつけた流川に、南陽の生徒が言う。
「だったらなんだァ?こっちにゃ夏目さんが居るんだ、てめぇらイモの比じゃねえんだよ!」
流「…あ?」
「だからよ、南陽のイモの比じゃ……ぐっ!!」
北陽の生徒が笑った途端、流川の表情が無表情になる。低い声で返事をするや否や、ワンパンで北陽の生徒を沈める。
流「…てめぇ今なんつった?あ?」
「ぐっ……」
倒れ込む北陽生徒に、容赦なく蹴りをいれる流川。その異質な姿に、北陽生徒は後ずさる。
流「なんつったって訊いてんだよ…」
「か、勘弁してください…」
流「誰がイモだって訊いてんだよ…コラァ…」
「ひっ!」
再度顔を覗きこみながら尋ねる流川。その狂気に、誰一人として口を開くものはいなかった。詫びをいれて許しを乞う北陽生徒だったが、詫びも虚しく流川の蹴りが再び始まった。
流「ナメやがって…おー、コラ?」
「く、狂ってる…狂ってやがる…」
「南陽の流川恐るべし…」
なにか話そうとするならば顔面に蹴りを、再び腹を蹴りつづける流川に対し、味方ですらも恐怖心が芽生えていた。
「流川さん!もうヤバいですって!…流川さん!」
流「…ちっ、ボケがァ!」
トドメと言わんばかりに転がっていた鉄パイプを手にとり、寝ている相手に振り下ろす流川。気がつけばその場には流川と南陽生徒しかいなかった。
「や、やりすぎっすよ…死んでんじゃねえっすか、こいつ…」
流「狼狽えんじゃねえよ。人は簡単にゃ死なねぇの…クックック…」
流川はそれだけ伝えると1人で歩いていってしまった。流川の暴れっぷりは翌日、学校内で瞬く間に広まった。しかし、決してヒーローと言う訳ではなく孤立のきっかけとなるのも時間の問題である。
いつものように登校する流川、ちょうど廊下に差し掛かると、数人が噂をしているのを発見する。
「流川、あいつ危ねぇよな…」
「何考えてるかわからねえしよ…
「昨日も割り込んできて、北陽1人半殺しだぜ?あいつおっかねえよ…」
壁にもたれて盗み聞く流川の表情は、みるみるうちに曇っていく。それだけならまだいいが、信じられない一言が流川の耳に入る。
「あーあ、あんなやつ居なくなればいいのによ…」
流「っ…」
あからさまな嫌悪感、それを耳にした流川は持っていたタバコをクシャッと潰し、ゆっくりと噂する生徒のもとへ歩き出した。
次第に近づくにつれ、生徒は慌てたように居直ると、作り笑顔で流川に話しかけた。