Purple road―紫色の堕天使達―
□第18話 中坊日記3
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集会帰り、2人はゆっくりと海岸通りを歩く。
藤「でね、その陽次って奴がとんでもないバカなんすよ。」
優「陽次くんって確か麗羅だよね?集会の時に来てたもん。」
藤「暴霊と麗羅は昔っから仲いいっすからね…合同集会ン時っしょ?あんとき俺熱出して寝込んでたんっすよね。」
他愛もない話が盛り上がりを見せた所で、ちょうど優子の家につく。なにかを期待するように、センパイはアキラの腕を取り中に入ろうとする。
藤「ちょっとちょっと、俺まだ寄るなんて言ってないっすよ?」
優子「そのつもりで一緒に帰ってきたんでしょ?お見通し。」
藤「バレてら…お邪魔します。」
それから2人は茶を軽くのみ、当然の如く愛を育んだ。
アキラが目覚めたのは、昼過ぎの事だった。隣に寝ていたはずの彼女がいないのを不審に思うが、やはりそこはまだ中学生、そこまで気にもせず服を着て、そっと家を出たのだ。
家路につくために歩いていると、中抜けをしたであろう友人に出会った。
藤「陽次ィ!」
陽「おー、アキラ。お前またサボりかよ?」
藤「女ン所から帰りだよ。集会終わって、それからな。辰也はいねぇのかよ?」
陽「懲りねぇなお前も…あいつ熱出して今日休み。つまんねえから中抜けだ。」
他愛もない会話をしていると、後ろから忍び寄る者が2名。やがてその2人は、アキラに話しかけた。
「アキラ、てめぇなに仲良く話してんだ?」
藤「…あ?」
アキラが振り向くと、そこにはアキラが特に嫌っているセンパイが立っていた。
ドスの効いた声でアキラに睨みを利かすと、火がついたのは陽次だった。
陽「てめぇ喧嘩うってんのか?」
藤「陽次やめろ!……こいつ、ダチなんすよ…」
「一色がダチね…てめぇ、暴霊の3代目決まってっからって、甘い顔見せやがって。そいつはてめぇのダチだが俺らにとっちゃ敵だろうが?……甘ったれたことやってんじゃねえぞ!」
藤「ぐっ……」
キレた陽次を宥めてセンパイに説明するアキラだったが、鉄拳を腹にくらいうずくまってしまった。これにより、陽次は完全にブチ切れてしまった。
陽「コラァ!横からしゃしゃり出てきやがって!いっぺんブチ殺したらんとわからねぇみてぇだな、おっさん!」
「誰がおっさんだコラァ!」
胸ぐらを掴んで睨みを利かす陽次に対して、そのセンパイは睨みで返す。一触即発ともなる空気を変えたのは、アキラだった。
藤「ちっと、待ってくださいよセンパイ……」
「あぁ!?」
陽「アキラお前…」
藤「陽次もここは黙ってくれ……センパイ、あんたじゃ3代目は張れないっすよ。」
「ガキが…言うじゃねえか?」
藤「あんたのやり方じゃ人はついてこない…そんなんだから俺みたいなガキに先越されんでしょうが…」
腹を抑えながら必死に陽次を宥めると、センパイに対して嘲笑うように語るアキラがそこにはいた。