Purple road―紫色の堕天使達―
□第18話 中坊日記3
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藤「で、誰が包茎だって?」
目的の場所へ着くと、西中の生徒が押し寄せていた。番格と思わしき男が、アキラに指を指しながら言い放った。
「てめぇだよ!コノヤロー、俺の女にちょっかい出しやがって…殺してやるからこっちこいや!」
藤「へいへい、まあ女のことでウダウダ言われるのは情けねぇからよ。」
「なんだ、やけに素直じゃねえか…さてはビビったな?」
言われるがままにスタスタと間合いを詰めるアキラ。その行動に、西中は驚きを隠せずにざわめいた。やがて目の前まで着くと、フッと笑って見据える。
「素直な奴は嫌いじゃねえぜ。そうだなあ、慰謝料貰おうか。有り金だせや?」
藤「…」
言われた通りにスっと懐に手をいれるアキラ。ニタニタと笑いながら様子を見る西中たち。しかし、油断した隙をつき、アキラは思わぬものを取り出したのだ。
「なっ、てめぇ!」
藤「ほらよ、飛びっきりの慰謝料。とっとけ。」
「ぶはっ!!」
藤嶺は警棒を取り出し、相手の横っ面を思い切り叩いたのだ。血を吹き出しながら倒れた相手を見下ろして、相手のポケットから財布を抜く。
藤「でもよ、てめぇも恐喝罪で訴えられてもおかしくねえ事してきたからな。示談金で泣いといてやるよ。」
「…は、はんぱねぇ…」
「悪魔だ、こいつ…」
藤「さて、と…そろそろ来る頃合いだなァ。」
財布から全額を抜き取るなり、カラの財布を倒れている相手に叩きつけて、ザワメキの中あたりを見渡す。その直後に遠方から直管の音が2台、瞬く間にアキラの前で停まる。
「ったくよォ、またいじめてたんか、
アキラァ?」
藤「へへっ、すんませーん。」
?「ハーイ、アキラ。今日はウチに寄ってくれるんでしょ?」
藤「優子センパイ…しかたねえっすね、俺が忘れらんねえんでしょ?」
その単車には暴霊のステッカー。気さくに会話するアキラをみて、西中生徒は唖然とする。綺麗な女性は優子という、暴霊のセンパイである。アキラは優子に口づけをすると、空いているタンデムに跨った。そして再び爆音とともに走り去ると、西中生徒は引き上げていく。
日が暮れて夕闇があたりを包む頃、アキラは暴霊のジャンパーを着て集会に参加していた。
「それでよー、相手鼻血出しながら逃げてやがんの。ありゃー笑ったぜ。」
藤「ターコ、ありゃーお前もボロボロだったじゃねえか。ゾンビかなんかに間違えられたんだよォ!」
「「「ハハハハハハハ!」」」
他愛もない話をしていると、アキラの前に先程の綺麗な女性が現れる。口笛をふいてアキラを茶化す仲間に、アキラはゲンコツを食らわして、改めて女性に振り向いた。
藤「どうしたんすか、優子センパイ。」
優「そろそろ、帰るからサ。一緒にどうかなって。」
藤「……よし、お前らまたなあ!俺帰るわ。」