Purple road―紫色の堕天使達―
□第17話 中坊日記2
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銀「刺されてえか、斬られてえか…選べ。」
「いや、えっと…」
銀「時間切れだぜ、兄ちゃん。」
相手がしどろもどろになっている内に、銀次はドスの柄で首筋を殴り、気絶させる。ようやく追っ手から逃れた銀次は、ドスをしまうと再び駆け出した。
一方その頃、金次は裏路地に逃げ込み難を逃れていた。相手が居ないのを確認し、路地から出た時だった。
紫の群れが駆け抜ける。
金「狂死蝶…?」
偶然に狂死蝶の集会にかち合ったのだ。未だかつて見たことがないその光景に、金次は胸を踊らせた。
金「これが族…」
金次が我に返るのは、しばらくしてからの事だった。それは、銀次の声によって気づかされる。
銀「兄貴…兄貴!」
金「…よォ、京浜狩りは一旦やめだ。」
銀「はぁ!?なにいってんだよ!ここまで来て!」
金「族だ…狂死蝶に入んぞ。」
銀「なにいって…おい、おーい!ったく兄貴の病気的な癖がまた出やがった…待てよ兄貴!」
銀次に振り向くでもなく、金次はそう告げる。告げたと思えば、スタスタと歩いていってしまった。それを見て銀次は呆れたように溜め息をこぼすと、やがて兄を追って走り出したのだ。
「ウチに入りてぇ?」
金「押忍、黒潮中の一条兄弟ったら、そこいらの族には負けねえっす。損はないと思いますよ!」
銀(本当にいっちまうんだもんなァ…付き合いきれねえ。)
それからの金次は早かった。早速溜まり場に赴き、アタマとディスカッションをとったのだ。さすがに呆れたように銀次が項垂れているが、そんな事はお構いなしに金次が話を進めていた。
「黒潮、ねぇ…笑わせんじゃねえ。」
金「…なんですって?」
「テメーらごときのガキなんざ、ウチにはゴマンと居るんだ。図のぼせんじゃねえ。」
銀「だったら、コイツらぶっ飛ばせば認めてくれるんすか?」
金次の言葉を鼻で笑い、図に乗るなと居直るアタマ。さすがの金次もピリッとした目で睨み付ける。
しかし、それでもアタマの態度は変わらず、一条兄弟をバカにしていた。その瞬間に銀次のスイッチが入った。
「おう、考えてやる。まあテメーらごときのガキに負けるやつらじゃねえけどなァ?」
金&銀「…上等。」
アタマの一言に、二人揃って答える。金次は目の前の兵隊を拳で、銀次は金次の背後の兵隊を蹴りで沈める。
「テメーら…」
金「ガキはガキでも、最近のガキはおっかねえぜ!」
銀「寝首かかれねえようになァ、大将!」
一斉に飛びかかる兵隊、多勢に無勢の戦いが始まった。