Purple road―紫色の堕天使達―

□第16話 中坊日記
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新「まあよ、認めたくねえけど認める…お前なかなか強いじゃねえか。」

陽「まともな喧嘩ならお前の方が強ぇだろうな、それは認めてやるよ。」

新「生意気なヤローだぜ…」


喧嘩していたのが嘘のように、昔から連れ添った友のように会話する二人。幾度となく繰り返した喧嘩を経て、いつのまにか友としての情が芽生えていた。いままで感じたことのない、確かな暖かさがそこにはあった。


陽「そういやぁ知ってっか?南港中の一年坊で強ぇのがいるって…」

新「ああ、“真田”だべ?俺達には関係ねえよ…それより明王の一条兄弟の方が厄介だぜ?」

陽「ああ、アニキの金次とは喧嘩したけどよ…巻き付いたら離れねえ蛇みてえな奴だな。」

新「弟の銀次はアニキ以上にあぶねえ奴だぞ。アイツだけは絡まれたらめんどくせえ…」


やがて話は、近隣中学の勢力にかわる。話題に上がったのは明王中学の一条兄弟、それから南港中学の真田の話題だった。中でも一条兄弟とは二人揃って因縁があり、金次と陽次、新開と銀次でそれぞれタイマンの感想を話す。

憂鬱そうに会話しながら、やがて放課後を迎えると、二人は並んで下校した。しばらく歩くと、前方からなにやら物騒な二人組が歩いてくる。陽次は怪訝な表情を浮かべて新開に伝えた。


陽「なーんか、暴れてえ気分だな?」

新「…奇遇じゃん、俺もちょうど暴れたくなってきたわ…」


二人組との距離が近くなる。すれ違った直後に双方共に足をとめた。


「鮫島の芋が、堂々と歩いてるなんてなァ?」

「恥っこ歩いてひれ伏しとれや、芋野郎。」


二人組の挑発に、場の空気が凍りつく。やれやれと首をふり、陽次は口を開いた。しかし新開は目を見開くと、黙ってしまった。


陽「ここは天下の公道だろうが…偉そうな口利くなよ?」

新「…」

「…死にてえか?」

「殺すぞテメー…?」


陽次の言葉に、二人組はドスの効いた声で振り返る。陽次と二人組のメンチ合戦が始まった。互いに退かずに、目を反らさずににらみ合う様に、通行人も注目する。


「…ちっ、今日の所は見逃してやんよ。行くぞ。」

「命拾いしたなテメーら…」


苦虫を潰したような表情を浮かべると、二人は再び歩き出す。見慣れない中学であるのは確かだが、私服姿であったために確認が取れない。陽次たちは不思議そうに再び歩き出す。


新「…」

陽「どうしたんだよ?お前らしくねえ…」

新「…なんでもねえよ。」

陽「…辰っちゃんビビったんか?」 

新「誰がだ!気安いんだよテメー!馴れ馴れしく呼ぶな!」


新開の一瞬の異変に触れるが、はぐらかされると再び歩き出す。陽次がふざけては新開がキレる、新開がキレたら陽次がまたふざける。そんか繰り返しをしながら二人は下校した。
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