Purple road―紫色の堕天使達―
□第16話 中坊日記
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「喧嘩だァ!二年坊同士の喧嘩だぞォ!」
「誰と誰よ?」
「C組の一色と、B組の新開だとさ!」
「マジかよ、見にいくべ!」
シーンとした校内が一辺、喧嘩の騒ぎを嗅ぎ付けたモノたちが一斉に目的地へ駆け出す。ザワザワと沸いている野次馬の真ん中には、一際目立つ赤髪と黒髪がいた。
陽「ぶっ殺すぞテメー!」
新「テメーがぶっ殺されんだよ!」
二人は罵声を浴びせながら喧嘩をしている。片方は椅子を相手に投げつけ、もう片方はそれを避けて顔面に拳を浴びせる。後の麗羅の3代目と副長である。顔面に一発喰らったところで、陽次はキッと新開を睨み付ける。
陽「目障りなんだよォ、テメー…」
新「気が合うねぇ…俺もテメーが目障りだ。」
陽次の一言に、新開はニヤッと笑って応える。次の瞬間には再び激しいどつきあいが始まっていた。殴っては殴られ、蹴っては蹴られ、頭突きをしようものなら頭突きで返す。一歩も退かぬ二人の戦いは、思わぬところで終止符を打たれることとなる。
「またお前らか!!喧嘩をやめんか、一色も、新開も!…ええい、やめんか社会のゴミがァ!!」
止めに入った教師の一言で、二人は喧嘩をやめる。しかし教師の悲劇はこの直後に起こった。
陽&新「あ…?」
「な、なんだその目は…わ、悪かった、社会のゴミは言葉の綾で…ひっ!?」
鋭い殺気を込めた目を教師に向ける二人。その圧に教師が後ずさるが、時すでに遅し。二人の標的は完全に教師へと向けられた。
新「社会のゴミで…」
陽「悪かったなァ…」
強烈な拳の音が廊下に響き渡る。教師が気絶したのを確認し、二人は唾を吐き捨ててその場を去った。
その翌日、陽次は校舎裏でタバコを吹かしていた。気だるそうに空を眺めては、再びタバコの煙を吐き出す。それを繰り返すうちに、天敵は再び陽次の前に現れる。ほぼ同じタイミングでそれぞれが嫌悪感を出した所で火がついた。
新「あ…」 陽「ちっ…」
新「テメー舌打ちしたな、もういっぺん地獄見せてやらねえと負けたことがわからねえみてぇだな?」
陽「俺がいつテメーに負けたんだ?歴史を都合よく変えるのが好きみてぇだな、お前。」
新「殺すぞテメー!」
いつものように新開が喧嘩を吹っ掛けようとした時だった。
陽「あー…わかったわかった、もうテメーとの喧嘩も飽き飽きだよ。吠えんじゃねえよウルセーな…」
うんざりしたようにストップをかけ、項垂れながら新開に話す陽次がいた。珍しい事態に、新開も目を点にして呆気にとられていたが、すぐに隣にしゃがんでタバコをくわえた。
新「テメーが生意気だから俺が教えてやってんだろうが…あれっ、ライターどこだっけ…」
陽「ほらよ…」
新「お、おう…サンキュ…」
火を探す新開に、そっと愛用のジッポを差し出す陽次。これには素直に、新開も礼を言った。