Purple road―紫色の堕天使達―

□第15話 子連れ金狼
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その翌日、金次たちは早速さがしはじめた。それぞれが地元で動いており、金次は地元の中学をあたっていた。


金「……っつうわけでよ、“ゆう坊”の親探してんだわ。お前ら怪しい女いたらすぐ俺か新開に伝えろ。」

「そりゃ金次先輩の頼みっすから。当たり前っしょ!」

「早速下のモンにも話してみます。」

金「すまねぇな、恩に着る。」



金次の卒業した中学というだけあって、後輩は金次を慕っているのがよくわかる。話しがまとまると、金次は優太を肩車したまま背を向けて歩き出す。その姿は、歳の離れた兄弟を彷彿とさせた。


ところ変わってとある事務所。私服姿の銀次は真面目に話をしていた。どうみても本職の若い衆のような出で立ちから、まったく違和感がないのが不思議である。


銀「先輩、よろしく頼んます。」

「おう、後輩の頼みとあっちゃ助けるのが男ってモンだ。しっかしオメーがアタマ下げにくるなんてなァ?」

銀「今回ばっかしは、ワシら小僧の知恵じゃ回らんもんで。そのかわり、先輩が仕切ってる的屋、手伝いますから。」

「バカたれが、そんな水くせえこと言うなよ。いいだろう、兄貴に話してみるさ。」


再度深く頭を下げて、事務所を出る銀次。外に出た所でちょうど夏目と落ち合った。


夏「……オメーやっぱり若い衆やってたんだな?怪しいと思ったけどよ。」

銀「バカ言うなよ!お前アレだな、見た目で判断しやがったな?完全に服で判断しやがったな?」

夏「冗談だよしつけえな!優太の情報だよ。地元で調べたんだけどよ?ちっと前に美崎で、優太を連れて歩く30代くらいの女を見たって奴が数人いたんだよ。それ伝えに来たってワケよ。」


夏目の冗談に銀次がしつこいくらいにツッコむ。苦笑いを浮かべると夏目は、調べた情報を話した。


銀「……サンキュ、これで見つかる手がかりは出来たぜ。早速葛西さんに……お前歩きで来たんか?」

夏「おう。美崎からここまで近いしな。ここいら狂死蝶以外にもチームあるし、迂闊に単車乗って喧嘩吹っ掛けられてもめんどくせぇ。」

銀「だったら乗ってけよ。別行動はめんどくせぇだろ。」


二人は銀次の愛車で溜まり場をめざす。夏目が調べあげた情報は十分なくらいだった。たしかな手応えに満足し、意気揚々とアクセルミュージックを奏でながら走った。


その頃、新開は西湘ヶ浜を単車で走りながら手がかりを探していた。人に訪ねたりしながら、とうとう夕方となってしまった。


新「ここまで手がかりなしか……キビシイか?」


厳しい表情をしながら信号待ちをする新開だったが、思わぬ会話が耳に入ってくる。最初こそは他愛もない話だろうと気にしていなかったが、どうも引っ掛かる内容だった。
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