Purple road―紫色の堕天使達―

□第15話 子連れ金狼
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捨て子をそのままにもしておけず、とりあえずは溜まり場に連れてきた金次。金髪パンチが子供を連れて歩く姿はとにかく異質で、溜まり場につくなり新開に……


新「……誘拐?」


などと聞かれる始末であった。なんとか事情を説明し、把握してもらうこと15分…


金「名前は優太って言うみたいでさ。聞けば母ちゃん買い物にいったらしいんだよ……絶対アレじゃねえかよな。」

銀「兄貴もつくづく災難だよなァ……」


コーヒーを飲みつつ、銀次と夏目に事情を話す金次。子供が嫌いなわけではないが、いざ面倒を見るとなると悩みが絶えないのも事実。ナポリタンを食べさせて、なんとか場に和ませる事は出来た。

今は新開と遊んでいるが、この先の事が検討もつかないでいる。



新「優太は、バイク好きなんか?」

優「うん!父ちゃんが乗ってたし……けど、父ちゃん出ていっちゃっていないんから。」


新開の問いに素直に答える優太。その発言に、一同が複雑な心境に陥る。歳5つともなれば、父親と遊びたい盛り。それが片親となると、我慢もしなきゃいけない。元来不良になるには複雑な家庭環境があってなるものが多く、それは金次たちも例外ではなかった。


夏「優太くんだっけか、俺らも同じだよ。親父がいねぇと寂しいだろ?」

優「寂しいけど、母ちゃんがいるから。父ちゃんと約束したんだ、母ちゃんを守るって。」

新「……そっか、強いなお前。」


夏目の問いに答える優太を見て、新開はフッと笑うと頭をくしゃくしゃと撫でた。優太がくすぐったそうに目を細めるのを見て、一同は微笑む。


金「しかしよ、親が見つかるまでどこに居させるかだよなァ……俺ん家は厳しいし……」


金次の疑問に一同も頭を悩ませた。五歳の子供を外で寝泊まりさせるわけにもいかず、かといって各自の家に泊まらせるわけにもいかない。どうしたものかと悩む金次たちだったが、とある男が救いの手を差し伸べた。


葛「2階が俺ん家だから、俺が面倒を見るよ。困った時頼られるのが先輩だろうが?テメーら遠慮すんな。」

金「葛西さん……ありがとうございます。お前らに頼みがある!優太の親、探すの手伝ってくれ。この通りだ。」


葛西の言葉に、金次は深々と頭を下げる。そして今度は銀次たちに向き直り、再び頭を下げる。その姿を見た夏目は、金次を小突いた。


夏「あたりめえのこと言うなよ。」

銀「俺らも同じ境遇だし……な。」

新「協力すんのが当たり前じゃん?」



こうして、金次たちの捨て子救済作戦が始まった。

その日は喫茶店の二階で、早速優太の親睦会を開くこととなった。
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