Purple road―紫色の堕天使達―
□第13話 退けない意地
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新開が西を潰した頃、銀次と中岡はほぼ互角の戦いを見せていた。
中「なかなか……やるじゃねえか…?」
銀「こっちは二人も犠牲者出してんだ…退けねえ意地があんだよ…!」
互いに顔は血にまみれ、特攻服には互いの返り血が散っていた。双方とも肩で息をし、それでもまだギラギラした目をして睨みあう。
互いに持った男としての意地、看板を賭けた退けないプライド。今の二人を動かしているのは、その二つの揺るぎない物。ある意味似た同士な二人であるが故に、互いに一歩も退かずにいた。
中「…漢だなァ、お前。」
中岡はフッと笑うと、銀次に向けて再び拳を振るう。ボディに叩き込み、隙も許さず右に左に殴りつける。銀次も全く負けておらず、中岡に喰らった倍の拳を叩き込む。
正々堂々とした戦い、抗争の中で初めてとも言える、まともな男同士のタイマンがそこにはあった。
目も離せないような壮絶な殴りあいが、かれこれ一時間は続いているわけだが、一向にバテる気配がない。もはや二人の顔面は腫れや傷のせいで、誰かわからなくなっている状態である。
中「クソッタレがっ!」
銀「効かねえんだよ!」
中「しつけぇな!」
銀「効かねえっつってんだよ!」
中岡が殴り、銀次が意地の反撃をする。よろけながらも中岡が再び銀次を殴るが、それでもまだ反撃する。一発のパンチに気合いを込めて、互いに退けない意地をのせて打ち合う二人。
一進一退の喧嘩を繰り広げてきた銀次たちであったが、少しずつ消耗してきているのもまた事実であり、互いに足はフラフラとしていた。
銀「いい加減寝とけぇ!」
中「てめぇが寝とけコラァ!」
互いの拳がそれぞれの頬に当たると、二人同時に膝をつける。やがてどちらからともなくニヤリと笑った。
中「そろそろ、ケジメといこうや…」
銀「…来いよ。」
中「……オラァァァァァァ!!!」
中岡は銀次の一言に応えるように、雄叫びをあげて走り出す。対する銀次はゆっくりと立ち上がり、迎撃の構えをとる。
最初に仕掛けたのは中岡、凄まじい左右連打を浴びせる。それに応えたのが銀次、何発か顔面やボディに喰らうが、同じ数の打撃を中岡に叩き込む。
ほんの数秒、わずかな時間。ありったけの力を込めて互いに拳を当て続ける。しばらくの打ち合いを終え、僅かに銀次が中岡を圧し始める。
中「っ…クソったれがァァァァ!!」
朦朧とする意識の中でトドメの1手を中岡が放つが、銀次はそれを受け止める。再び中岡が殴りかかるが、今度はそれを避けて3発ほど中岡にぶち当てたのだ。
すべてを喰らって火が消えたように倒れる中岡、銀次は足に力をいれて、フラフラとしながらも立っている。死闘が終わった瞬間だった。
中「…チームや連合がなけりゃ…俺もお前と……ダチになれたかな……」
薄れゆく意識の中で、中岡がこぼした本音。それは紛れもなく、濁りなき気持ちだった。
銀「……楽しかったゼ、中岡…」
3vs3デスマッチ、2回戦目、中岡対銀次。
意地を通し、銀次の辛勝。