Purple road―紫色の堕天使達―

□第10話 雷小僧危機一髪
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詫びるどころか睨み返して反抗的にタンカをきる藤嶺に、流川はタバコをふかしてから机を蹴り飛ばした。じっと見つめながら精一杯の殺気をこめて、藤嶺に答えを委ねる。


藤「俺はたしかにバカだけどよ……やってもねえことで頭下げるほど人間丸くねえんだ。そっちもハナから喧嘩する気で来てるんだろうが?」

流「……それが答え、ってことでいいな?」

藤「能書きこいとる前にこいよ……そっくり利子つけて返してやるからよォ…!」


一条兄弟、流川、そして藤嶺。鋭く睨みつけながら、ゆっくりと間合いをつめていく。後少しで喧嘩というときにまた乱入者が現れた。金髪が似合う色男は、慌てたように間に入る。


夏「お前らちぃと待てやっ!一条兄弟に流川、おめーらの誤解なんだよ。」

金「なにいってんだ、横からしゃしゃり出てきやがって……」

銀「テメーはすっこんどれや!叩っ殺すぞ!」


それに噛みついたのは一条兄弟。殺気を夏目に向け、邪魔をするなと言わんばかりの剣幕である。呆れたように夏目は事の経緯を話始めた。


夏「だからよォ、タカりかけてたのは湘北の奴なんかじゃねえんだよ!…湘北の制服だけど…」

流「やっぱり湘北じゃねえか…用が済んだら消えろや!今からこのバカにケジメつけんだからよォ?」

藤「なにコラァ!」

夏「あー…とまんねえよ…おい新開!助けろって!」


半ば涙目になりながら助けを求めた夏目の視線の先には、新開が立っていた。ゆっくりとその場に近寄るなり、新開は壁を拳でぶち抜いた。その気迫に場は静まる。


新「…大概にしとけェ、今日の俺はすこぶる機嫌がワリィぞ。」

夏「ふぅ…要するに説明するとよ、タカりかけた奴等、“天王工業"のバカどもなんだよ。」


天王工業高校、西湘の端にある工業高校で、不良の数は大多数、一人をシメたら徹底して抗戦してくる超不良校である。


流「……冗談はやめとけよ、天王だったら湘北の制服なんざ着てねぇだろ。」

金「いや待てよ…?被害あったのはうちの周りと流川ん地元だけだよな…?湘北ったら場所でいえば西校の近く。真っ先に的にかけるなら西校のはずだよな?」

銀「だいたいアキラが見張ってんのに動けるわけがねえ。あながち間違いじゃねえかもしれんぞ?」


徐々に出てきたヒントをかけあわし、その不自然さに気づくことになるのはその直後だった。カランと音をたてて入ってきたのは、まさに噂していた奴等であり、制服はきっちり湘北のものを着ていた。


「俺たちゃ湘北のモンだがよォ…」

「アキラさん帰ってきて物入りでよ。銭寄越せやコ……ラ……」



意気揚々にそうタンカを切ってくる二人だが、異変に気づくのはすぐだった。二人の視線の先には、眼光鋭くにらみつける6人の姿があった。
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