Purple road―紫色の堕天使達―
□第10話 雷小僧危機一髪
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藤「あーあ、久々な学校も退屈なもんだったな。」
久々に登校したはいいものの、あまりに退屈なまま放課後を迎えてしまった。初めの意気揚々とした雰囲気はなく、ただゲンナリとして下校する藤嶺がそこにはいた。
「アキラさん、聞きましたか?」
藤「あ?」
Г最近うちの学校語って、タカりかけてるバカがいるそーで……」
藤「そんなモンどこにだっているだろ?今さらどうってことねえよ。」
後輩からの一言に、藤嶺はより一層不機嫌に答えた。なによりも自由を愛する彼だからこそ、こういった退屈な話題はうんざりするのだ。そんなあっけらかんとした態度に後輩は、心配を深める。
「でも…すくなくとも黒潮に被害が出たって…」
藤「ウルセーな…ったく、テメーは心配性だよなァ?心配すんな!金ちゃんたちだって一回こっきりじゃ動きゃしねえよ。もっとも、五強すべてが被害うけたら別だけどな…」
いい加減にしてくれと眉をつりあげて後輩の頬をペチペチと叩くと、そう残して藤嶺はスタスタと歩いていってしまった。残された後輩の表情は心配と諦めが混ざっていた。
時は過ぎ場所も変わって、湘北通りにある喫茶店。藤嶺は雑誌をみながらタバコをふかしていた。
藤「…金運、やっぱりダメか。恋愛運…待ち人必ず振り向くだぁ?テキトーこくんじゃねーってんだよ。」
ぶつくさと文句をつけていると、カランと音をたて、よく知った男が二人入ってきた。藤嶺の近くにくるなり机を叩きつけ、逃げ場を塞ぐように座り込み、顔をのぞく。
金「シャレにならねーな、アキラ…」
銀「一回二回じゃ下のモンがマヌケで済むけどよ、こうも続いちゃケジメとらなきゃならんだろうが…」
藤「あぁ?知らねーなァ…テメーらトチ狂ったか?」
勢いに押されるでもなく、藤嶺は雑誌を投げ捨て、一条兄弟に睨み返す。その態度に銀次は机を蹴りとばし、胸ぐらをつかむ。
銀「とぼけんなァ!!下のモン使ってウチにタカりかけたべがァ!」
金「どう落とし前つけんだよ、五強相手に?」
藤「だからタカりなんて知らねーよ、うだうだいいやがって…なんならテメーらの借金踏み倒して、倍の負債抱えさせてやろうか…アァ!?」
そんな言いあいの最中、また一人飛び込んでくる。紫に染められたリーゼントパーマの彼である。ズカズカと間を割って入るなり向かいの席に座り込む。
流「おいおいおいおい…随分ナメてくれちゃってんじゃんか…」
藤「テメーも負債、抱えてえのか?」
金「コラ流川…今こいつは俺らの貸し切りだ…横からしゃしゃり出ていらんこと言わんとけやァ!!」
流「すぐ終わっから、黒潮のイモは引っ込んどれや……」
銀「な……にっ!」
流「……殺すぞ?」
流川は一条兄弟に有無も言わせぬ殺気を向けて黙らせると、再び藤嶺に向き直り話を進める。剣幕から察するに、またタカりが原因だろう……藤嶺はそう察した。
流「いままでは五強のよしみだと思って小競り合いしても笑って過ごしたがよ…タカりをなんべんもかけられちゃ笑えなくなるだろうが……」
金「なっ……」
銀「テメー……うちだけじゃなく流川ンとこまでっ」
藤「だからウチじゃねえんだよ……知らねーもんは知らねー。」
流「それじゃ済まねーんだよ。おいアキラァ、テメー詫び入れろ。ウチと黒潮、両方に……テメーとはやり合いたくねーんだよ。」