Purple road―紫色の堕天使達―
□第8話 波乱の転入生
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夕「陽次くんっ。来ちゃった…」
語尾にハートがつく勢いで陽次の隣に座る夕美。もはやクラスなどそっちのけ、完全に陽次しか見ていなかった。一方陽次は項垂れたまま目も会わせず、ワナワナと震えていた。
夕「陽次くん?ねー、陽次くんっ!」
陽「うるせぇなテメーは!人の気もしらねーで!なにチャッカリ転入してきてンだよ!?なにどさくさ紛れに爆弾発言投下してくれてンだよ!?」
夕「だって好きになっちゃったんたもーん!」
我慢の限界を迎え、陽次はとうとうキレてしまった。それはもうエライ剣幕でツッコミというツッコミを連発した。それに対しても夕美は気にせず、陽次の腕に絡み付いてくる始末である。うんざりしたように席を立つと、夕美までついてくる。
陽「あー…ダメだダメ、体調わりーや。」
夕「あっ!どこいくんだよー、陽ちゃん…せっかく会えたのにー」
陽「馴れ馴れしいな!便所だよ!」
夕「わざわざトイレいかなくたって、私が飲むのにー」
陽「テメーは一日に二回は爆弾投下しなきゃ気がすまねー質か!?爆弾魔かなんかですかァ!?」
夕「やだ…そんな誉めないでよ、照れちゃう。」
陽「誉めてねーよ!貶してんだよ!ついてくんな!」
といったようにコントのようなやり取りをして教室から出ていく二人。残されたクラスの面々は嵐がすぎた後のように目を点にしていた。教師がため息を深々と吐くと頭をかかえ呟いた。
「…また、うちのクラスにバカが増えた…」
どこまでもついてくる気配の夕美に、陽次もようやく諦めたのか、渋々に同行を許した。二人で歩いていると、目的は同じであろう頼れる副長が歩いてきたのを陽次は確認した。
新「おー陽ちゃん、かわいい娘つれちゃって…」
陽「ったくよー、いいメーワクだぜ。お前も一限目からフケっちまうのか?」
新「そ。数学とかダリーっしょ?……あの娘が転入生?」
夕「陽次くん、誰その人?」
陽「あ?……俺のツレでよ。」
新「新開辰也っての。コイツと同じチームの副長やってるんよ。」
夕「へぇ……あたし夕美っての。大槻夕美。今日から陽次くんの彼女!」
またも飛び出した爆弾発言に、新開はポカンとする。すかさず陽次が鋭くツッコんだ。
陽「だから彼女じゃねーよ!一日に何回爆弾ぶっこむんだよテメーはよ!」
新「ふっ……かわいいもんじゃねーかよ。」
夕「でしょー!?新開くんわかってるぅ…ところで、チームってことは族やってるの?」
新「麗羅ってとこ。コイツがアタマなんだけど……愛蘭からなら知らねーか。」
夕「麗羅!?あの、西連の看板チームの?」
新「看板かどーかは知らねーけどな。うちもチーム一つ一つが看板みてーなもんだから……」
陽「辰也テメー余計なことしゃべんじゃねーよ……」
そんな話をしながら校舎裏に行けば、やっぱり角刈りアタマの彼もいる。珍しく1限目から麗羅の面々が揃ってしまった。缶コーヒーを飲みながら、真田は陽気に挨拶をしてきた。