Purple road―紫色の堕天使達―
□第7話 修羅の転入生
4ページ/5ページ
同刻、愛蘭商店街。
「ったくよォ、おもしれぇ話聞かせてやるから来いなんて、竜二もムチャだよな?」
「おう…でもあっちは西連の本拠地だろ?まして一色がいる西高で、一色ぶっ飛ばしたみたいじゃねえか。万が一に奴が来て見つかりゃ一発だぜ?」
見慣れぬ制服を着た三人組が歩く愛蘭商店街、愛蘭高校である。南條はツレを呼び出したのだ。陽次を倒したという話をするためか、呑気に歩いている。それを見ている男がいるとも知らずに。
「わり、ちっとションベン!」
「またかよ?オメービビってんじゃねえのか?いいから行ってこいよ。」
「ふー…こんな時に襲われちゃ堪らんぜ。早く済ませて合流っと…」
?「待ちくたびれたぜ、愛蘭…」
「あ?っひぃやぁぁぁぁぁ!!」
愛蘭生が一人トイレに入った時だった。叫び声が響き渡る。残った愛蘭生たちがトイレに来るなり戦慄が走る。
おそらくこの場面で一番会いたくないリストNo.1だろう。そこにいたのは真っ赤な髪をしたあの男なのだから。
「どしたぁ!?…っ!」
「い、い、一色!?」
陽「南條のバカが愛蘭とか言うから、どんなモンかと思ったら……地元に比べりゃ屁みてぇなモンだな?」
頭に包帯を巻き、右手には木刀を担いだ陽次がそこには居たのだ。床には血にまみれた愛蘭の一人が転がっている。それだけでビビらせるには十分だった。
陽「南條のこと、詳しく教えろや。溜まり場とか、どこにいるとか…よ?」
「んなもん、なんでテメーに言わなきゃならねーんだよ!」
陽「あ…?」
反抗的な態度をとった愛蘭の一人を、有無も言わせず木刀で叩くと、残る一人は狼狽える。そんな相手に陽次は冷たく言い放った。
陽「テメーも、叩かれてみっか?」
「い、いや!南條なら、今の時間は女と会ってると思うぜ?たぶん、“エンペラー”って喫茶店にいるはずだ…」
陽「その場凌ぎの嘘ならテメー、二度と歩けなくしてやるぞ……」
「う、嘘じゃねえよ!!なんなら、案内すっからよ……」
陽「よぅし……なら案内せぇや。」
本気で仕留める。そんな目で睨みをきかす陽次に、愛蘭生は勝てる気がしなかった。素直に案内をすると誓うと、エンペラーに向けて歩きだす。
「よ、よォ…マジで竜二とやるんかよ?そんな体で…」
陽「…体がどーだろうがテメーに関係ねえ。俺らの世界はよ、やられたら下向くかやり返すかだって、どっかの漫画で見たけどよ。その通りだよなァ?俺は下向くほどヤワじゃねえんだよ。」
「(ば、バケモンだ……あの竜二相手にこんなこと…!)」
平然と言う陽次に、改めて格の違いを思いしらされる愛蘭生。どれ程歩いただろうか、たどり付いたのは日が暮れてからだった。ここまで来ると、陽次は気合いが違った。案内をした愛蘭生の頭を掴むと、喫茶店のウインドウに叩きつけたのだ。一瞬で喧騒がかきけされ、中にいた南條と女は冷や汗を垂らしている。
陽「土産、置いとくぜ南條。」