Purple road―紫色の堕天使達―
□第7話 修羅の転入生
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さらに翌日。
陽次が負けた話はすぐに広まった。学校には陽次の姿はなく、真田と新開は校舎裏でその話をしていた。
新「永次、陽ちゃんの話聞いてっか?」
真「……負けたっつう話っしょ?あんなもん、タイマンじゃねぇよ……不意打ち同然に後ろから叩いて、一方的だったみたいっすから。」
新「なんであれ、負けたのは事実。俺らがすることは一つでよ……これ以上無様晒さねぇことだ。話によりゃ大半が南條についたみてぇだからな……ヘタすりゃ最悪なこともありうる。用心しとけよ?」
時は流れ、放課後。とうとう陽次は学校に顔を出さなかった。永次と別れ、新開は帰路についていた。あと少しで単車の隠し場所までつくという時だった。ゾロゾロと見知った顔が並んだ。
新「……なによお前ら、陽次見限って南條の太鼓持ち?」
「いつまでもアンタらに居座られちゃ目障りでね、新開さんにも死んでもらいますよ。」
新「まあお前らの決めた道だろうからよ、咎めはせんよ。……ただ、曲がりなりにも俺相手に、これっぽっちか?」
相手の態度にも尚飄々と新開は応えるが、人数を見るなりくわえたタバコを吐き捨てて不機嫌を露にした。
それもそのはず、仮にも新開は腕が立つ。陽次に僅か劣るにしても、間違いなく指折りの腕なのだ。それを相手にあまりにナメた態度をとられたとなっては、穏やかな新開も流石に腹が立つ。
「どうせ一色の影に霞んでるようなアンタだ、負ける気はしねぇよ……くっくっく…」
新「…あ?」
一人の兵隊が新開を笑うと、新開は低い声で返事をし、秒の早さで笑った兵隊を叩き潰す。笑っていた兵隊たちに一瞬で戦慄が走る。
新「人が笑っとるウチに、大人しく退いとれよ……?終いにゃ地獄やぞ…」
「一人でなにが出来るってんだ!構わねえ、いったれぇ!!」
新「…」
兵隊が連携を見せ、新開に攻撃を仕掛けると、特に身構えるでもなく新開は次々に倒していく。左からの拳をかわしざまに左ボディで一人。右から仕掛けてきた相手に右中段蹴りで一人。最後に怯んだ相手を左ジャブからの右フックで一人。あっという間に三人も沈めたことにより、相手はもはや戦意がなくなるが、新開は一切の容赦がなかった。
新「よーしよしよし」
「や、やめっ!……ぐっ!」
後退りが遅れた一人の兵隊を捕まえると、髪を掴み満足そうに笑う。新開はそのまま掴んだ相手の顔に膝を何発もいれると、瞬く間に鮮血が舞った。
新「ナメやがって……おー、コラ?」
「や、やめろよ!延びてるじゃねぇか!!」
新「おら、おらっ!ナメてんじゃねぇぞ…コラ…!」
「や、やめろコラァ!!」
一人が制止するが、新開は全くもってやめる気配がなかった。相手が動かなくなっているにも関わらず、何発も膝をいれ続けた。咄嗟のことに兵隊の一人が新開に蹴りをいれる。ようやく新開がやめた時には、先程の兵隊の顔は原型を留めておらず、髪から手を離して文字通り地面に捨てると、蹴った相手に目を向ける。
新「痛ぇな……コラ…」
「ひっ!?……ぎゃぁぁぁぁ!!…」
狂犬のように狂暴な目を相手に向けるなり頭を掴み、新開は目を潰した。断末魔が響き終わると、残りは一人となった。よく見ると腰が抜け、失禁をしているではないか。
新「南條に伝えてよ……陽次は一回負けてからが怖いってサ。今ごろ気が狂うたようにお前を狙っとるだろうから、用心せぇってな?」