Purple road―紫色の堕天使達―
□第7話 修羅の転入生
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翌日
陽次はボーッとホームルームまでの時間を過ごしていた。しばらくしての事だった、担任が入ってくるなり一声、聞いたところによると、転入生がクラスにくるという話である。
「というわけで、今日からウチのクラスに転入してきた……“南條竜二”君だ。仲良くしてくれよー?喧嘩はすんなよ、特に一色!」
陽「うるせーなァ、わぁーった、わかりましたよ。」
「……と、南條。挨拶があれば言え。」
南「……」
担任の一言に、南條はクラスを鋭い眼光で見渡した。黒髪のアイパーリーゼントに、短ラン。ズボンは太さからいってドカンで間違いないだろう。陽次は横目で転入生をインプットする。とてもどうでもよさそうにあくびをこぼすと、再び窓の外に目を向けた。
南「南條竜二、愛蘭から転校………ツッパッてる奴ァ片っ端からシメるつもりだからよ、ヨロシク。」
「おいおい……」
ようやく口を開けば、明らかに陽次を挑発するような一言。陽次は鼻で笑うと、南條に見向きもしない。その態度に腹を立てたのか、南條はゆっくりとヨタヨタと陽次の前までいく。担任は慣れているからかため息を吐くが、それには構わず、とうとう南條は陽次に噛みついた。
南「コラ赤髪、テメーに言ってんだよ……ダセー頭しやがって。」
陽「けっ、そりゃどーも。アンタが大将!俺の負け!貫禄が違うわァ…」
南條の挑発などどこ吹く風か、陽次は目もくれずに降参降参とふざけた態度をとった。イチイチ喧嘩ばかり買っていたらキリがないというのが陽次の考えである。そんな陽次の態度が、さらに南雲をキレさせた。
南「殺すぞ……?」
陽「……殺す?誰が、誰を?」
「まあお前ら、仲良くせえよ?」
陽「チッ…誰を殺すんだよ、アァ?」
南條の一言に、さすがの陽次もスイッチが入る。クラスの一同はもはや冷や汗をかき、担任は呆れたように出ていってしまった。陽次は制止を遮るように重い一言を南雲に飛ばすと、ゆっくりと南條に目を向けた。
陽「南條っつったか……誰を殺すんだよ?」
南「テメーを……っ!!」
陽「イジメんぞテメー…?」
再び南條に問いかけ、南條が口を開いたその瞬間に陽次は鋭い拳を南雲にぶち当てた。クラスから悲鳴があがると、陽次は立ち上がり、転がる南條を見下した。
南「……へっ、やるじゃねえかよ……」
陽「オモテに出ろ、イジメてやる。」
南「けっ……」
陽「ったく、生意気なバカヤロが……っ!?」
南「イジメてみろよ……アァ?」
見下したまま、南條にそう告げ、陽次は外に出る。南條は後を続くように外に出るなり、今度は南條が陽次の顔面に拳を叩き込む。同じように転がる陽次を見下しながら、南條はニヤリと笑う。
陽(こいつ……相当やる……)
陽次が返す間もなく、今度は南條が陽次を一方的にタコ殴りにする。ここまでされれば、さすがの陽次もたまらず防戦一方となる。
そんな一方的な暴力がどれほど続いただろう。勝負は陽次の負けに終わった。
南「エラソーに吹きやがるから、どんなモンかと思ったら……なんてことねぇ。明日っから坊主にでもしてこいや。」