Purple road―紫色の堕天使達―
□第1話 一色陽次と申します!
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?「(へぇ、災難だったな陽ちゃん。)」
陽「(ったくよー、あいつだって立派なソリ入れてンだぜ?ソリかっこいいっつって誉めたのによ。)」
?「(陽ちゃん、ありゃーソリっつうよりハゲが進んでるだけだよ・・・)」
校庭側の窓から苦笑いを浮かべてカンペで陽次に話かけるこの男、名前を新開辰也と言う。麗羅の副長を務めており、温厚な雰囲気とは裏腹に喧嘩となると鬼のように強い。
陽「(そーいやぁオメーのCBX、“カブ”っちまって速度出ねぇとか言ってたな?あれどうなったよ?)」
辰「(プラグ換えたり、いろいろしてやっとこさだよ。年期モンだからなぁ・・・中坊ン時におろしてもらって、ずーっとコキつかっちまってたから・・・)」
陽次も単車を組み上げられる程メカに強いが、辰也は別格である。麗羅において、単車のメンテナンスは彼が行うほどである。副長兼チーフメカニックといったところだろうか。そんな話をしていると、同じく校庭側の窓からとある男が現れる。そこには見覚えのある大切な後輩が立っていた。
?「(センパイ、陽次センパイ・・・!)」
辰「おっ、真田ちゃん・・・」
陽「(なんだオメー、勉強しろ少年)」
真田永次、麗羅の特攻隊長である。一年にして特攻隊をこなす実力者である。やはり授業などツマラナイらしく、脱走を謀り、こうして陽次の元に来たのだ。しかし、こんなに集まれば流石にバレてしまい・・・
?「コラ!!3馬鹿が揃いも揃ってなにしてやがる!授業受けなきゃダメだっつってんべ!?」
永「ひぃぃ!!」
辰「出たァ!鬼山ァァ!!!」
山本和巳、通称“鬼山”。捕まれば厄介な体育教師である。なんやかんや陽次たち3馬鹿を面倒見てくれる、良き教師である。
「先生!陽次くんが窓から脱走しましたァ!!」
教師「ほっとけほっとけ、あいつらいつものことだ・・;」
鬼「待て3馬鹿ァ!」
辰「やだやだ!あんた痛いことするんだべ!?」
陽「バカヤロー!永次てめぇ、速く走りやがれ!!」
永「あ、脚がすくんじまって逃げれねぇんすよォォ!!」
猛ダッシュで逃走を謀る3馬鹿、それを凄い速さで追いかける鬼山。いつしか授業をほったらかして、それぞれの応援をはじめる。西湘高校の名物である。
「陽次くん!逃げ切ってぇ!!」
「先生にかけてンだ!捕まえてくれよなぁ!」
陽「あいつら楽しみやがって!」
辰「つうか陽ちゃん、フツーに授業受けてたんだから逃げなくてよかったんじゃねーの!?」
陽「そこは…なんか楽しそうだったしヨ?」
永「話してる場合じゃねーっすよ!鬼山ァ!テメー教師だべ!賭け事放置していいンかよ!?」
鬼「ガハハハハっ!標的はオメーら3馬鹿だァ!」
徐々に距離が縮まる。3馬鹿の逃げ切りか、鬼山の執念か、笑顔で差を縮めてくる鬼山、結果は如何に!?