Purple road―紫色の堕天使達―
□第35話 宿命の再会
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譲(なんで…)
千「ククク…」
譲(なんで俺が膝をついてる…?)
譲二は確かに優位に立っていた。しかし何故か追い詰められた千春が笑みを浮かべている。譲二は訳が分からなかった。
譲「て…めぇ…っ!」
千「確かにお前の喧嘩には手こずったよ…右かと思えば左、下かと思えば上……なんでだろうな?お前が"跪いてる"のは…?」
ーそれは一瞬の出来事だったー
譲「忠犬なんて、ガラじゃねえんだよ…!」
千「……小せえな?」
駆けていった譲二の拳は軽々と千春に受け止められる。力を込めてもビクともしない。次第に拳にメキメキと千春の指がくい込んでいく。あまりの痛みに譲二はついに膝をつき、今に至る。
千「いいこと教えといてやるよ、"子犬"ちゃん…喧嘩ってやつは…」
譲「っ!?」
千「"勢い"だけじゃ勝てねぇんだよ。」
譲「ッ、ァァァァ!!!」
グシャッと嫌な音が響く。譲二の拳から鮮血が飛んだ。千春は握力のみで譲二の拳を潰したのだ。あまりの激痛に転げ回ることしか出来ない譲二に、千春は呆れたように蹴りを連発であびせて行く。
千「散々調子くれたなてめぇ?」
鋭い蹴りが無抵抗な譲二へと浴びせられる。何発も何発も、執拗に。
譲(ダメだ…勝てねぇ…こいつに負け…る…!?怖ぇ、怖ぇよ、コイツ…!)
千「死ねよ、お前。」
トドメと言わんばかりに足を高く上げ、譲二のアバラに踵を振り下ろそうとした時に、耳をつんざくような直管の音が響く。こちらに向かって加速しているのが分かると、ピタッと千春は動きを止めて、そちらを見る。
千「…来たかよ、葉月ィ…!」
第35話 宿命の再会