Purple road―紫色の堕天使達―
□第31話 純情乙女恋愛作戦
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夕「陽ちゃーん?…ねえ陽ちゃんってばー!」
陽「マヌケな呼び方すんじゃねえよ!俺ぁ今忙しいのっ。」
夕「忙しいって…漫画読んでるだけじゃない!構えよー、なあ、構えってー!」
大槻夕美、一目惚れから押しかけ女房同然で陽次と付き合って早1年。デートはすれども、未だにキスもその先もない。肝心の陽次は、ご覧の有様でまったく相手にしない…というか、そういうことに興味が無い。かれこれ1時間はこのやり取りを繰り返している。
陽「…だぁ!うるせえな!なんだ?お前は発情期の猫ですか!?構え構えしつけぇんだよ!」
夕「あはっ♪やっとこっち向いてくれたぁ!」
夕美の発言に、しまったという顔をする陽次。ガッチリと顔を固定し、キスをしようと迫り来る夕美。陽次絶対絶命と思われたその時だった。
"ピロロロロロ!"
陽「電話だ!どけ!…はい一色…おうなんだ燎じゃねえか。…今から?…ちょうど暇だったんだ、そっち向かうわ!」
夕「せっかくの家デートより、大事な用事ですか陽次くん?」
陽「今から軽く走りにいくんだよ。女の子は危ないからダメー!…テキトーに帰っていいからよ、またな!」
電話が鳴るなり夕美を押しのけて、あれよあれよという間に出てってしまった。残された夕美はだんだんと怒りが湧き出る。
夕「陽次のバカヤローー!!!」
夕美の叫びは、ただ木霊するばかりだった。
第31話 純情乙女恋愛作戦