Purple road―紫色の堕天使達―
□第23話 麗羅二代目回想録[後編]
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葛西が二代目を継いでから1ヶ月めの土曜日、何度目か分からない集会が始まっていた。
葛西率いる二代目体制となってからの気合いの入り方は尋常なものではなかった。
葛「バカヤロォ!」
「すいませんでしたっ!」
葛「すいませんじゃねえんだよォ、てめぇ地元から逃げた人間じゃねえのか?なんだその特攻服?…なにが西湘一家だよ?」
「いやこれは……」
葛「てめぇ八尋について逃げたんじゃねえのか?おー?だいたいその単車どっから持ってきたんだよ?」
襲名式の日、葛西と八尋が衝突したあの日、2人は決別した。八尋は麗羅を脱退し、"MARIA(マリア)"という族を立ち上げた。それに伴い、八尋派は麗羅を脱退、二代目麗羅はかつての同士と抗争状態となっていた。
「あの……八尋さん所から……」
葛「このガキがァ!八尋ん所からじゃねえんだコノヤロー!」
葛西は裏切りを許さなかった。寝返ったはずのメンバーが麗羅の集会に平然と参加していたのだ。これに気づいた麗羅側のメンバーが、葛西に報告、単車を止めて炙り出し、ヤキをいれて今に至る。
葛西はそのメンバーに蹴りをいれ、金属バットで引っぱたく。最近の葛西は特に恐ろしく、傍から見ても少し暴走気味であった。見かねた美雪が止めに入ると葛西はバットを放り投げ、美雪の言葉に耳を傾けた。
美「クニアキくん、最近おかしいよ?力入りすぎ。」
葛「アタマになるって決めた時から、優しくなんて甘えたこといってられねえんだよ。今ウチは八尋ん所と揉めてるしな、仲間内でビッと気合いいれねえと。」
美「……ちょっと、心配だな。」
葛「心配すんな、潰すマネはしねえよ。………てめぇらよく聞けェ!反目に回る奴は容赦しねえからよ、死ぬ気でまとまれや!わかってんのかよォ!!」
美雪の心配をよそに、再び走り出す葛西。あの日を境に、喧嘩が耐えない武闘派にシフトチェンジしてきた二代目麗羅。どうなる事か、今はまだ誰も知るよしはなかった。
第23話 麗羅二代目回想録[後編]