Purple road―紫色の堕天使達―
□第13話 退けない意地
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陽「……」
我妻を完膚なきまでに叩き潰し、動けなくなった我妻にツルハシを振り下ろした陽次だったが、そのツルハシは我妻に当たることはなく、顔すれすれの地面に突き刺さっていた。
我妻も目を見開いて驚いている。対する陽次は冷めたように背を向ける。
陽「……シラケちまった、失せちまえや我妻。」
我「……きひっ、きひひ……つくづくめでてえなァ!?一色ィィィ!!」
背を向けた瞬間だった。我妻がツルハシを振りかぶり、背後から陽次を切り裂こうとしてきたのだ。しかし陽次はそれを容易に避けると、回し蹴りを我妻の側頭部に叩きこんだ。
この一撃には、さすがの我妻もぐったりと倒れこむ。冷たい目を我妻に向けると、ゆっくりと再び我妻に歩み寄る。足元に転がる我妻を見下し、次の瞬間に陽次はとんでも無いことをした。
陽「死んどけオラァァァァ!!!」
我「ゴホッ!!!」
無防備な我妻の肋骨を目掛けて、陽次はかかとを降り下ろしたのだ。嫌な音が鳴り、嫌な感触が陽次の足を伝う。
声にならない声と、血ヘドを吐き散らしながら、我妻はとうとう気を失った。悲痛な顔をしながら、くしゃくしゃになったリーゼントパーマを治すこともなく、おもむろにタバコをくわえる陽次がそこには居た。
陽「……クソバカ野郎が……」
タバコに火をつけ、一つ分吸い込んで煙を吐いた瞬間に、陽次は壁にもたれるようにして座り込んでしまう。目にキラリと輝く雫を宿しながら呟いた一言は、風にかき消された。
第13話 退けない意地