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□第十二話 運動不足解消は難題
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北風の吹き始める季節
『歩こ〜歩こ〜私はすこぶる元気!』
通い慣れた散歩道を二匹の猫を連れて今日はいつにもましてご機嫌に散歩している鈴
こないだのお祭りのおかげで売り上げが伸び、彼女の給料も弾んだのである
『あははー、この生活にも慣れてきたなー流石私!やればできる子!』
いつもように河原へさしかかったところで、風が吹き、猫たちが騒ぎ出した
『おっと何よ、いつものコースじゃんか、寒いんか?コタツで丸くなりたいんか?私はなりたい』
確かにここ数日で一気に寒くなってきた気がする
いくら元気が取り柄とはいえ猫としてはつらいのかもしれない
引き返してコタツに入り雪見大福でも食べようと踵を返そうとすると
「ニャー!」
「ミャッフ!」
『ええ?全然平気だから川の向こう岸に連れていけ?
しょうがないなあ、最近運動不足だから行ったげるよ。少しは運動しないとね〜そもそも家にコタツ無いし』
風の吹きすさぶ中元気に歩く猫達に引きずられつつ向こう岸にたどり着くと大きな犬が地響きをドスドスあげながら走ってきた
『あれ、定春くん!おはよー』
いつのまに知り合ったのか猫たちと定春は仲良くじゃれ合っている
なんともほほえましい光景だ
『…もふもふパラダイス』
鈴が三匹の様子を写真とムービーに撮っているとケイコが近くに寄ってきた
鈴を見上げて口を開く
「ニャンニャン、ニャオース」
『え、ドッグランに行きたい?
別に構わないよ〜?
でも私ここらのドッグランの場所なんて知らないよ?』
「わんっ!」
定春が元気に一言
『定春くん案内してくれるの?だったら良いよ行っても』
こうして鈴はデカい犬とリードに繋いだ猫二匹を連れて、若干かぶき町の人々の視線を集めつつドッグランへ向かった